まずは本業をがんばる、ということ。

「まずは、本業をがんばる、やね」
Tさんが言った。
Tさんは外科医で、掛け値なしに日本のトップクラスの一人だ。
ぼくも運営に関わっているとある法人の創始者で、法人の活動方針を話しあっていたときのことだった。


本業のかたわら何か新しい活動を始めると、誰しもそれに夢中になってしまう。
新しい活動というのは意義や興味や関心があって始めるわけなので、夢中になるのは当然とも言えよう。
夢中になるのはよいのだが、往々にしてもともとやっていた本業が疎かになる。
経営者が団体活動で日本中を駆けずり回って活動してるうちに交際費ばかりが増えて本業が傾くとか、専門家がブログやSNSで四六時中情報発信しているうちにだんだんと「いいね!」欲しさにおかしな発言が増えていくとか、あるいはサラリーマンでも株式取引に夢中になりすぎて仕事が手につかないとか、落とし穴は至るところにある。
今だとパンデミックやインフォデミックに振り回されて過剰に不安になり(不安になっても当然な状況ですが)、しょっちゅうスマホで検索しまくってしまうとか。

 


いろんなことにかかわったほうが人生楽しいし、情報発信も情報検索もバンバンやったらよいだろう。
だが、なにが自分の「本業」かはしっかり見定めて、「まずは本業を頑張る」ことで自分の軸も定まる。
自分の軸が定まれば周囲の信頼も増すし、かえって本業以外の活動にもプラスの効果が出るはずである。


コロナの脅威は高まるばかりだが、こんなときだからこそ浮き足立たないほうがよい。
コロナの情報収集は適宜して対策も打ちながら、自分の「本業」をそれぞれの現場、それぞれの「プール」で頑張ることが、社会を健やかに回していくことにつながるのだ。
今日もまた、それぞれの現場でそれぞれの本業を頑張りましょう。

 

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