備えよ常に~その場しのぎの仕事のしかたからどう脱却するか2.

〈日本人は土壇場に強いんじゃありません。
気がつくと土壇場になってるんです。〉
とあるTwitterの賢人が言った(①)。


「何があったときのため人手を集めておいて、何かあったらその時はその場にいる人のその場の判断でなんとかする」という仕事のやり方は非常に「日本的」、という話をしている。
そうしたその場しのぎのやり方を脱却するには、あらかじめ何パターンかの未来シナリオを想定し、それぞれの状況が現実化したときにどう動くかをあらかじめざっくりと決めておくのがよい。
我々の本業は日常生活を送り日常業務を回すことなので、想定するのは3パターンくらいでよいだろう。
日常業務を回しながらシナリオを忘れないでいて時々アタマの中でこねくり回すには、3つくらいが丁度よい。

 

仮の例をあげる。
例えばお店をやっていて、コロナ禍で大変だとする。
これからどうなるかわからない、ダメになったらその時考えよう、ではよろしくない。
アタマの中で、起こりうる未来シナリオを3つくらい考える。

 

なんでもいいが、例えば
・未来シナリオ1 外出自粛があと1週間続く(1週間で終わる。以下同様)
・未来シナリオ2 外出自粛があと1ヶ月続く
・未来シナリオ3 外出自粛があと1年続く

 

もし現実化するのが未来シナリオ1なら、1週間思い切ってお店を休みにする選択肢があるかもしれない。1週間で自粛が終わるならば、下手にお店を開けて感染リスクを上げるより休んだほうがよいということもあり得る(仮定の話をしているため、実際には状況による)。

 

もし未来シナリオ2が現実化するならば、1か月もお店を休むわけにはいかない。店員のシフトを見直して、人件費を下げながらしのぐ事も考えなければならないかもしれない。

 

さらに未来シナリオ3が現実化する場合には、細々と実店舗をやるだけではしのげないから、別形態のビジネスを考えなければならないかもしれない。

 

我々は「当て物」をやっているわけではないから、どの未来シナリオが「当たった」とか「外れた」とか言っても意味がない。
上記のような話をしたときに「そうは言っても、コロナは一年も続きますかねえ。そうは思えないけど…」みたいなことを言う人もいるが、そういう人は相談相手リストからそっと外したほうがよい。得るものがないから、般若の心と菩薩の顔で、「そうですねぇ、先のことはその時にならないとわからないですからねぇ」と言ってその場を立ち去ることをお勧めする。

 

大事なことは、〈人間は、選択肢を与えられると急に賢くなる〉(②)ということだ。
何かあったらどうしようと怖くなるから考えない、という者と、こうなったらこう、ああなったらこう動く、と前もって考えている者では、仕事のやり方に大きな差がつく。
完璧な未来シナリオや完璧な事前の対策案は望んでも仕方がない。
だが、事前にいくつかの選択肢を頭の中に用意するだけで、勝手に頭の中で選択肢がブラッシュアップされていく。
そうするといざ未来シナリオに近い状況が現実化したときに、他者よりスムーズに行動に移せるというだけの話である。

①元ツイート
・織部ゆたか‏ @iiduna_yutaka · 
日本人は土壇場に強いんじゃないんです。気が付いたら土壇場になってることが多いだけなんです(2017年4月13日ころのツイート)

②元ツイート
・medtoolz@medtoolz Apr 18

人間は選択肢を提示されると、急速に賢くなれる。世の中に販売されている乗用車が1台しかなかったとして、デザインが気に食わないとか、椅子が固すぎるとか、ディーラーにいくら文句を言ったところで、選択肢がそれしかないなら、行動は変わらない。

 

3分診療時代の長生きできる 受診のコツ45

3分診療時代の長生きできる 受診のコツ45

  • 作者:高橋 宏和
  • 発売日: 2016/02/20
  • メディア: Kindle版