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救急医療のABC (R)

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「患者が急変したときのABCを知ってるかね?」
研修医になって数か月のころ、回診の終わりに上司のF先生がおもむろにぼくらに聞いてきた。

「えーと、AはAirwayで気道確保、BはBreathringで呼吸、CはCirculationで循環確保...」
唐突な質問にどぎまぎしながら答える。
「ふむ。
だが、新人研修医の裏ABCというのもあるね。AはAnother doctor」
はあ、ほかの医者...。
「BはBehind the doctor」
その医者の後ろ?
「CはCall Doctors、さらに医者を呼ぶ。
はい、今日のレクチャーはおしまい」
そういうとF先生はどこかへ行ってしまった。
なんだほかの医者を頼ってばかりじゃないか、と拍子抜けしたような、
きつねにつままれたような顔をしてぼくら新人研修医はその場に残されたのであった。

しかしながら考えてみると、力量不足の新人研修医が足りない力でひとりでなんとかしようとすると実は状況をこじらせることも多い。
独りよがりで見当違いの処置をして患者の容体を悪くするくらいなら、もっとできる医者を呼んできてきちんと対処してもらったほうがよっぽどいい。

そうしてもっとできる医者の背後から、「どんなことやってるんすか、どうやればいいんすか」とちょこちょことその先輩のワザを盗んでこそ、研修医も成長できるというものである。
また急変時にはとにかくマンパワーが必要なので、ほかの医者を呼び集めるというのも素晴らしい対応だ。

この裏ABC、アメリカの研修医の中で言われているもののようで、何バージョンもある。
なかでも素晴らしいのはB、Behind the doctorにみられる貪欲な学習意欲である。
担当患者急変時の裏ABCにはDやEもあるのだろうか、思って調べてみると、

A=Another:ほかの医者、
B=Behind the doctor:「どんなことやってるんすか」、
C=Call doctors:さらにほかの医者、

に続けて、

D=Deny your responsibility:責任を否定せよ=「オレやってないっす」、
E=Escape!:逃げちゃえ!

というのが出てきた。

訴訟社会も大変である。
(FB2013年6月2日を再掲。写真はphotoACより。全然知らない人です)

 

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