3分診療のままでよいとは思わない。それでもなお、できることがある。
「あの薬、実は飲んでないんですよ」、日々の診療をしているとよく聞く言葉だ。医者が思っているほど、患者さんはきちんと薬を飲んでいない。
5月21日放送分のNHK『くらし解説』によれば、こうした飲み残しの薬というのは75歳以上の高齢者分だけで475億円分、患者さん全体では1000億円分近くに上ると推計されるという。ああもったいない。
病院を受診する理由は患者さんによって違う。体の不調の原因がわかればひとまず安心で、できるだけ薬は飲みたくないのであれば先に医者にそう伝えてしまったほうがよい。
医者の中には病院にかかる人=薬が欲しい人という単純な思考の人もいるので、「体の不調の原因を診断してほしい。薬はあまり好きではないので、最小限でいいです」とはじめに言ってあげないと伝わらない。
意外なほどあっさりと、「あ、そうですか」と言って必要最小限の薬の処方で話が済むはずだ。
飲まない薬にお金を払うのはバカらしい。そのぶんおいしいものでも食べたほうが、財布にも体にも心にも「効く」はずである。
この話、続きます。
おまけ)薬の飲み残しがなくなれば医療費増大は解決する、というふうに言う人がいるけれど、医療費増大は高齢化と医療技術の進歩により出来ることが増えた(その分コストはかかる)のが大きな理由ですね。薬の飲み残しはもったいないから減らすべきだけれど、仮に飲み残しゼロになったとしても、医療費40兆円が39兆9000億円になるだけですので。