トライブ・ゲームとしての仕事ーAIの専門家によれば「人間の仕事の8割は部族ごっこ」とのこと。

「AI技術が進んだら、人間の仕事って無くなるんですかね、

この間AIの専門家にそう聞いたんですよ。

そしたらね、その専門家の答えはこうでした。

『大丈夫、人間の仕事は無くなりません。

人間の仕事のうち生産性が必要なのはたかだか2割で、残りの8割の部分、人間は"部族ごっこ”をしてるだけなんです。人間は"部族ごっこ”が大好きなんです。

生産性が必要な部分はAIが担うかもしれないけど、"部族ごっこ”の部分はAIにはできません』」(①)

あるとき、年若い友人が言った。

 

"部族ごっこ”、お役所みたいに横文字を乱用して"トライブ・ゲーム”とでもしようか。

"部族ごっこ”=トライブ・ゲームを、ある集団の一員であることを証明する作業、所属する集団の団結を強める儀式、他の集団と敵対したり競争したりするために費やされる労力と仮に定義してみる。

確かに日々の仕事を考えてみれば、定時までに職場に到着し、一定時間職場に滞在するというのはトライブ・ゲームの一種だ。定時に職場に到着し、一定時間職場に滞在することで、自分はその職場=部族のメンバーであることを証明する。

そのために満員電車や長距離通勤でエネルギーを消費するが、これもトライブ・ゲームかもしれない。

あるいはみんなで始業時にラジオ体操やるなんてのも、同一部族であることの確認みたいなところがあるので、トライブ・ゲームの一つだ(小池知事が突如言い出した、都庁職員みんなでラジオ体操やってオリンピックへの意識喚起をするって話はまだやってるんだろうか)。

同じ制服を着て、部族の掟である校則や会社理念をみんなで唱和するというのもこれまたトライブ・ゲームである。ライバル社に負けるな!なんてのも。

 

人間というのは群れたがる生き物で、その群れを成り立たせること自体に相当量のエネルギーを使っている。

AIの専門家が言うようにそれが仕事の8割を占めるかどうかは要検討だが、決して少なくない割合であることは間違いない。

 

オリンピックで自国の選手を応援することや、場合によっては国を代表して競技に挑むというのも"部族ごっこ”、トライブ・ゲームの一種だ。

自分の部族を応援すると人間の血はたぎるわけで、だから現地まで応援に行ったりテレビの前でビールあおったり自分の部族の活躍を報じる新聞や雑誌を買ったりして消費がぐるぐる回っていく。

誰かの消費が回るってことは誰かの仕事が増えてるってことで、やっぱり人間の仕事の8割は部族ごっこなのかもしれない。

 

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注①「AIの専門家」の名前はきいたが、ぼく自身が直接聞いた話でもなく、活字として公表されたものも未確認なので「ある専門家」とした。

「仕事の8割が部族ごっこ」という表現および今回の内容が、発案者の意図と反している場合に迷惑をかけたくないという理由で、発案者の名前は出さなかった。

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