「頭のいいこと」の効能というのは25年から35年で切れるのではないかと常々考えている。
生きていく上で、「頭のいいこと」が有利に働くのは若手から中堅くらいまでで、そこから先は別のファクターが必要なのではないだろうか。
「頭のいいこと」の効能が切れてくる理由の一つはもちろん次世代の台頭だ。人類というのは、次から次へと優秀な人たちが現れる。
また、日本というか東アジア圏というかの先輩後輩文化とか、スペシャリストよりゼネラリストやマネージャーが上位に置かれがちであるという会社文化も理由に挙げられる。
「頭のいいこと」の効能が25年から35年で切れるとすると、生き残り戦略としてはどうしたらよいか。
「キャリアのVSOP」という考えかたがあるという(けんすう『物語思考』幻冬舎 2023年 p.82-87)。
〈1978年に出版された脇田保さんの『自立人間のすすめ』という本に載っているものですが、簡単に言うと、
20代:(V)バラエティ。いろいろやってみるのがいい
30代:(S)スペシャリティ。専門性で戦う
40代:(O)オリジナリティ。あの人っぽいよね、と言われるようにする
50代:(P)パーソナリティ。あの人と仕事したい!
と思われるようにする というものです。〉(上掲書p.83)
生きていく上で、「頭のいいこと」の効能が25年から35年で切れてくる、正確に言うと、求められる「頭の良さ」の内容が全然変わってくるという仮説が本当で、「キャリアのVSOP」も正しいとすると、徐々に「パーソナリティ」を磨いていかなければならない。 つまり人間性を磨くことが大事ということで、人生は常に修行ですな。