接待の専門家はトランプ訪日をどう評するのか問題。

今いちばん会ってみたい専門家といえば「接待」の専門家だ。
先日のトランプ大統領来日での「接待」をどう評価するか聞いてみたいのである。

 

2019年5月28日朝日新聞の社説では、今回の訪日について「もてなし外交の限界」と題し、〈トランプ氏をもてなす過剰な演出が際立った。〉〈国賓を丁重に迎えるのは当然だが、度が過ぎると言わざるを得ない。〉と論じている。
接待の専門家は今回の「接待」をどう評価するのだろうか。

 

交渉術の構成要素として「接待」を見ると、時に「圧をかける接待」というのがある。
例えばあとになって「圧」をかける接待として、接待相手を夜の街の深いところに連れて行って、後から「あの時はお楽しみでしたね。これあの時の写真。ところで全然関係ないけど奥様お元気ですか?」と聞く手法がある。

 

また、冷戦時代に米ソ首脳会談では満面の笑みで相手方首脳に「お孫さんの◯◯ちゃんはいよいよ幼稚園ですね」と語りかけることで「あなたの個人情報はしっかり握ってますよ」と匂わせて圧をかけていた、とノビー落合が書いていた。アサヒスーパードゥラァァイ。

 

田中角栄が訪中した際に、日本でいつも愛用している味噌を使った味噌汁が出てきて、中国側がどこまで情報を握っているのか薄気味悪くなったという逸話もある(後述)。

 

逆に日本側が「圧をかけた」接待もある。
文字に起こされているか不明なので一部フェイクを交えて書くが、某国要人を「接待」した際、要人が大の甘党で、子どもの頃に食べていた近所の店のパイが大好きだったという情報を踏まえて、その店の元店主を探し出してパイを焼いてもらって、そのパイとミルクティーでもてなしたこともあると聞く(複数フェイクあり)。

 

もっとも、田中角栄訪中時のエピソードは調べてみると中国側が事前に秘書の早坂茂三氏に聞き込みにきていたということらしい(早坂茂三田中角栄 頂点をきわめた男の物語」PHP文庫 2016年 p.194)。
中国側の接待は徹底したものだったという。
〈いざ北京に着いたら、暑がりのオヤジの部屋は、終始、摂氏十七度に保たれている。冷たいオシボリと氷の入った水も目白の家と同じものが出る。大好きな〝台湾バナナ〟がいつもそばにある。朝、かならずみそ汁をとるオヤジのために、郷里である新潟県柏崎市の〝西牧〟という古いみそ屋から自宅のヤツと同じみそを取り寄せてあった。米も同じ越後のコシヒカリです。
さすがの田中も「やるねえ」と驚いていた。〉(上掲書p194)

 

トランプ氏の接待の話に戻る。
もし中国の勢いを削ごうとするならば、日米は互いに最重要な貿易相手国である。
その最重要な貿易相手国を「接待」するのに、どこまで徹底的にやったとしても、「度が過ぎる」ということはない(成果が上がったかはまた別の話)。

 

もっとも、ほんとに度が過ぎていなかったかは実際に同じ「接待」を受けてみないと言えない。
一納税者として、ぜひ実際にトランプ氏と同じ体験をしてみて真摯に検証してみたいので、ご担当者の方がいらっしゃいましたらご連絡ください。とりあえず茂原で待つ。

 

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