「ぽさ」「らしさ」考。

デキる官僚や医者にとって、「官僚っぽくない」「医者っぽくない」というのが時としてほめ言葉として成立する。

 

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 その理由を考え続けている。


一つには、Tさんが指摘していた通り、特別感が出るということだろう。
「官僚」「医者」というカテゴリーの中の、ステレオタイプの肩書きで「あなた」を見ているのではなく、「あなた」という「個」に関心を持っています、という言外のメッセージを伝えることが出来るフレーズであるということか。


「官僚っぽくない」「医者っぽくない」という言葉がほめ言葉として成立する裏には、「官僚っぽい」「医者っぽい」という言葉が悪口として使われることがある。この現象は、前述Tさんとは別のTさんから指摘されている。

 

情報収集してみると、「っぽい」「っぽくない」という言葉の持つ意味は業界ごとにずいぶん違う。

Mさんによれば、銀行業界で支店長に「お前、銀行員っぽくないな」と言われたら、それは左遷の前兆らしい。

また、Kさんによれば、マスコミ業界では、「マスコミっぽい」「業界人っぽい」というのはむしろほめ言葉だという。

 


様々な業界で考えてみる。評価は主観である。もちろん文脈によるが。
「料理人っぽい」→ほめ
「料理人っぽくない」→ほめor悪口
「サラリーマンっぽい」→悪口
「サラリーマンっぽくない」→ほめ
「ビジネスマンっぽい」→ほめor文脈によって悪口
「ビジネスマンっぽくない」→文脈によってほめor悪口
「教師っぽい」→やや悪口?
「教師っぽくない」→文脈によってほめor悪口
「弁護士っぽい」→悪口?
「弁護士っぽくない。茶髪にしてテレビ番組に出て人気が出たら府知事になりそう」→ほめor悪口?
「検察っぽい。賭け麻雀してそう」→悪口
だんだん脱線し始めた。


つらつら考えるに、「◯◯っぽい」「◯◯っぽくない」以外に「◯◯らしい」「◯◯らしくない」という言い方もある。
当初、「っぽい」「らしい」を同じ意味と捉えていたが、微妙に違うことがわかった。
「誰々さんて、男っぽくない」と言われた時の印象と、「誰々さんて、男らしくない」と言われた時の印象は全く違う。
「少しずつ学生らしくなってきた」というのと「少しずつ学生っぽくなってきた」とでもニュアンスは異なる。
「◯◯っぽい」という言い方には、うっすらとフェイク感が漂う。本物ではないけど、それに似たもの、みたいな。
もしかしたら、「官僚っぽくない」「医者っぽくない」という言い方は、二重否定による肯定みたいな語感があるのだろう。

 

待てよ、「◯◯っぽい」「◯◯らしい」以外にも、「◯◯くさい」という言い方もあるな。
例えば「誰々さんは人間っぽい」という語感と「誰々さんは人間らしい」という語感は違うし、「誰々さんは人間くさい」というとかなりのほめ言葉な気がするぞ。

 

「ぽさ」「らしさ」について、考えれば考えるほど分からなくなってきた。
そろそろ限界っぽい。

 

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