池田信夫氏『「42万人死ぬ」シミュレーションはどこが間違っていたのか』記事はどこが間違っていたのか。

2020年5月18日アゴラにこんな記事が。

agora-web.jp

批判したいだけの記事で、日本社会にとって、非常に有害な記事かと。

どこが間違っているか、順不同で。

 

・人類が新型コロナと遭遇したのは2019年末で、まだ半年しか経っていない。ウイルスの正体も付き合い方もまだまだわからない。
8割自粛を打ち出したタイミングではまだまだこのウイルスの正体は全然わかっていなかった。

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yamakai @yamakai74氏作成

 


・アメリカではコロナで9万人が亡くなっている。この半年で、である。三浦瑠璃氏とも共通する「新型コロナはたいしたことなかった」という認識は大きな間違い。

snjpn.net

ja.wikipedia.org


・記事中では「8割削減」と「自粛」をあえて別物としてミスリードしているが、「8割削減」の呼びかけにより国と民間が応じて「自粛」をし、その結果繁華街の人出が大幅に減ったり、国内外の人の移動が99%以上減った。「8割削減」と「自粛」は別物でなく地続きなもの。

www.tokyo-np.co.jp


・いまだに、なぜ欧米に比べ、日本含む東アジアでこんなに被害が少なくて済んでいるのか完全に解明した者はいない。

cell-medicine.com

 

・「自然免疫」云々は単なる仮説の一つでしかなく、定義も評価方法もあいまい。

少なくとも5月上旬までの間で、「自然免疫」がどうのこうのなんて言っていた人は皆無のはず。


・池田氏は理論やデータをあまりに属人的に扱っており、「責任」「責任」と騒ぎたてるが、これは『ファクトフルネス』で取り上げられている「犯人捜し本能」に他ならない。
「犯人捜し本能」で視聴率やPVを稼ごうというのはあまりにあさましい。我々が追い求めるのは科学的医学的真実のみ。

 

www.hirokatz.jp

 


・刻一刻と状況が変わるなかでスピーディに状況判断し軌道修正していくという行為は、臨床医は慣れているが、マスコミは慣れていないのでありましょう。


あまりに腹立たしい記事なので文章としてまとまらず箇条書きだけれど、こういう記事がもし一般に広く受け入れられてしまうとしたら、はっきり言っていって日本はだめになるばかりです。
すべては結果論で、本来なら反論する価値もないけれど、あまりに腹が立ったので。

 

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