『人生の幸福度は47~48歳が最低』とのこと~40代後半に思う(その3)

40代後半となり、思うところをつらつらと。

 

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(その1、その2の続き)
後の世に遺せるものは何か。金か事業か思想や文学か、と内村鑑三の話を続けたい。


金を遺すも良し事業を遺すも良し、思想や文学を後世に遺すのもなお良し。
しかし諸君、誰にでも遺すことが出来てさらに後世に害なく益ばかりある最大遺物がある。それはなにかといえば、〈勇ましい高尚なる生涯〉である、と内村は説いた。

 

生きていればさまざまなハードルがある。
生まれついた境遇や巡り合わせ、置かれた環境に降ってくる災難。家族や隣人たちに時に足を引っ張っられ、信頼していた人に裏切られ、仕事では次から次へと厄介ごとが押し寄せる。
まことにもって、生きていればありとあらゆる災厄がこの身に降り注いでくる。
だがしかし、にもかかわらず、われわれは〈勇ましい高尚なる生涯〉を送ることができ、その姿を後世に遺すことが出来るのだ。

二宮尊徳を見たまえ、彼は窮乏の中から自らの意志で学び人を助けたではないか。その生涯を見て、後世のわれわれは勇気づけられるのだ、と内村は言った。

 

我々が〈勇ましい高尚なる生涯〉を後世に遺せばどうなるか。それを見た後世の人々に伝わるものは何か。
〈勇ましい高尚なる生涯〉を遺すということはなんなのか。
〈すなわちこの世の中はこれはけっして悪魔が支配する世の中にあらずして、神が支配する世の中であるということを信ずることである。失望の世の中にあらずして、希望の世の中であることを信ずることである。この世の中は悲嘆の世の中でなくして、歓喜の世の中であるという考えをわれわれの生涯に実行して、その生涯を世の中への贈物としてこの世を去るということであります。〉(前掲書p.54)
そしてそのためには、境遇や環境やハンデが大きいのは嘆くことではない。大変な境遇であればあるほど、「dennoch,にもかかわらず」、〈勇ましい高尚なる生涯〉を送ることは偉業になるのだから。
そんなことを、内村鑑三は言った。

 

40代後半のミドルエイジクライシスまっただ中のぼくにとって、今の指針はこの『後世への最大遺物』である。
勇ましく高尚なる生涯なるものを送れるかどうかはわからないが、いろいろあるけど「dennoch,にもかかわらず」、小さな音で口笛でも吹きながら、せいぜい喜びにあふれた楽しく誇り高い生涯くらいは後世に遺していきたいものである。

 

〈勇気がほら わいてくるよ
朽ち果てそうだった心に
誇り高く生きよう 喜びにあふれ〉
(忌野清志郎『誇り高く生きよう』)

 


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