「何かやりたいけど何をやったらいいかわからない」「何者かになりたいけどそれが何かはわからない」と悩む若き日の自分に向けて書いている。
友人Iさんご指摘のとおり歴史を振り返れば人類のほぼ全ては食うや食わずで必死でやってきたわけで、言ってみればまあ贅沢な悩みであるわけだけれど、悩みは悩みなわけで、無責任なアドバイスもあってもいいだろう。贅沢の果てに病気になったとしても処方箋は必要なように。
⑥自分の本当に好きなことをやればよい。
これまたナンセンスなアドバイスである。
こういうことをいう大人は多いんだけど、そんなものがあったら悩んでいない。
というわけで次。
⑦自分の好きなもののために動く。
自分が何をやるのが好きかわからなくても、自分の好きなものはわかるかもしれない。
自分の好きなもの、“推し”のために何が出来るか考えてみる。
エイベックスは、もともと社長が自分の好きなダンスミュージックを広めるために輸入レコード販売業をはじめ、それが発展してできた会社だという。
サブカルキングみうらじゅんも、自分が前に出たいからではなく自分の好きなものを広めたいから動くという(〈私が何かをやるときの主語は、あくまで「私が」ではありません。「海女が」とか「仏像が」という観点から始めるのです。〉『「ない仕事」の作り方』文藝春秋kindle版1115/1490)。
好きなものがあれば好きなものが、好きな地域があれば好きな地域がより輝くために自分が何が出来るか考えて動く。そんなアプローチがあってもよい。
自分のためには頑張れなくても他人のためには頑張れる。そんな側面が、人間にはある。
⑧得意なことをやる。
「やりたいこと」や「なりたいもの」がわからなくて動けないのであれば、得意なことをやる。徹底的にやる。
亡くなられた瀧本哲史氏が書いていた戦略の中に、「楽勝で出来ることを、徹底的にやる」というものがあった(『戦略がすべて』新潮新書p.95など)。
自分だけのしっかりした人生を歩み、「生(せい)の実感」を得たいのなら、楽勝でできること=「強み」を活かすのがもっとも手っ取り早い。
何故なら、
〈1 人の才能は一人ひとり独自のものであり、永続的なものである。
2 成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である。〉から(〈〉内はマーカス・バッキンガム他『さあ、才能に目覚めよう』日本経済新聞出版社p.12。原題は『NOW,DISCOVER YOUR STRENGTH』。同書を勧めてくれた友人Rに感謝)。
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