日本の習慣の一つに「割り勘」がある。
みなで会食をして、会計を単純に人数で割るという方法で、日本で「割り勘」をしたことがない人はいないと思う。
たくさん飲み食いした人もそうでない人もいるので「払い損」の人が必ず出てくるので、昨今ではお酒飲まない人は少なく払うなどの傾斜配分も行われている。この「割り勘」はまあまあの納得感をもって日本社会に受け入れられていると思う。
で、ここからが本題なのですが、この「割り勘」というやり方を日本以外の文化圏の人にうまく伝えられるかについてご体験をお聞かせ願いたいのです。
若かりしころ、なんちゃってバックパッカーとしてロンドンからイスタンブールまで旅行した時とかに非日本文化圏の人とご飯食べに行ったりしたが、その時は全て個別会計、自分が食べた料理のぶんを自分で払ったおぼえがある。
「割り勘」を「ダッチ・スタイル」というのだと読んだが、実際にそんな言い方するのでしょうか。
世界を見渡すと、会食の際の支払いについていくつかありそうだ。
①割り勘
②個別会計
③おごりおごられ
①について、日本以外で行われている国はありますでしょうか。“会費制”とか“メンバーシップフィー”みたいなやりかたは感覚的に割り勘に近いのだろうか。
①のやり方は、大皿料理や鍋みたいに参加者で料理をシェアする食文化には向いていそうだ。誰が何をどれくらい消費したかわからないので個別精算は向かないからだ。まあコロナ禍でそうした食文化は廃れそうではある。
②については欧米文化圏な気がする(欧米といっても千差万別だろうけど)。②が主流の文化圏だと、明朗会計なやりかたとして“キャッシュオンデリバリー”とかが発達しそう。
この②のやり方は明朗性があり、都度精算なので会食メンバーの流動性を高めやすい。
ゲスト的な人を招きやすいのが利点だ。
③について、イメージ的には中華圏、いわゆる儒教圏で行われていそうだ。ここは私がおごるから、次回はあなたが、みたいな会計方法。
試みにこの「おごりおごられ」スタイルで会食をしてみているのだが、このやり方だとメンバーの親密性が上がるのと、返報性の原理でそのメンバーでの会食習慣の維持可能性が上がることを発見した。おごりおごられが続くグループにポンと新参者は入りにくいし参加者も抜けにくいから、親密なグループを作るのに向いている会計方法だ。
世界を見渡すと会食の精算方法にもいろいろあるなあと感心するが、皆様のご経験をお教えください。
付記)イギリスのパブだと「ROUND」といって、1回ずつ交互にみんなの分をまとめて払うみたいなやりかたをすると友人Tさんにご教示いただきました。
付記)イギリスのパブだと「ROUND」といって、1回ずつ交互にみんなの分をまとめて払うみたいなやりかたをすると友人Tさんにご教示いただきました。
付記2)中華圏でも最近は「割り勘」も使われるようになり、「AA制」(「Acting Appointment」または「All Apart」の頭文字らしい)と呼ばれていると友人Iさんよりご教示いただきました。
「おごりおごられ」スタイルだとインナーサークルを作りやすい(メンバーを固定してそのなかで関係性を高めやすい)という利点があるなと最近気づきました。
一方でステークホルダーがくるくる入れ替わる時代だとその場精算の「AA制」のメリットもありそう。
付記3)20年ほど前の香港では、中国人同士だと「一番のお金持ちが全員分をおごる」という風潮だった、と友人Nさんよりご教示いただきました。ポトラッチ的な感じですね。面白い。
付記3)20年ほど前の香港では、中国人同士だと「一番のお金持ちが全員分をおごる」という風潮だった、と友人Nさんよりご教示いただきました。ポトラッチ的な感じですね。面白い。