「どこも看護師不足で」
むかし見学に行った茨城の病院で聞いた話。
「看護師紹介の業者もありますが、手数料もかかる。だいたい年俸の3割くらいが相場でしょうか。でも、そういう業者を利用して看護師さん紹介してもらってもすぐ辞めちゃったりする。
で、うちの病院でやった対策は潜在看護師の掘り起こしです。
看護師免許を持っているけど看護の仕事をしていない人ってたくさんいるでしょう。
うちの病院のある地域は工業地帯で、会社や工場の人たちの健康診断はうちの病院が引き受けるんですね。 話を聞いてみると『うちの奥さん看護師なんだよね。今は主婦だけど』みたいな話をよく聞くんです。 だから会社や工場の定期健診の会場で、健診と一緒に『看護師募集』のお声がけをした。 すると『うちの奥さんに伝えとくわ』って言ってくれる人が出て、奥さんも『看護師として復帰しようかしら』って応募してくれた。
病棟でバリバリ夜勤というわけにはいかなくても、何人かそれで採用して働いてもらってますよ」。
注1.厚労省補助金研究(令和2年)によれば、いわゆる潜在看護師は79万3995人(平成30年時)。そのうち65歳未満では69万5461人とのこと。 ただし、看護師免許を持ちながら教育や研究に従事していたり、企業で働いている人も多いので留意。
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202022038A-buntan1.pdf
注2.看護師不足を海外からの人材で補おうという考えもあるが、たとえばフィリピンの看護師数は2019年時で92万3452人(経産省データ)。
手間暇かけて海外から招こうとするのもいいが、何よりも今働いている看護師が辞めなくて済む環境づくり及びせっかく国内で育成した看護師に復帰してもらう働きかけがより重要ではないかという考えに基づき、書いています。
経産省データ(看護師数はp.26より)。
注3.もともとはこちらのニュースを見ての雑感です。