新人看護師離職率を下げるための工夫と『リアリティ・ショック』

「ご存知の通り、看護師の離職率は高いです。特に新人看護師が辞めてしまう。そこで我々は」
かつて見学に行った静岡の病院で聞いた話。
 
「辞める理由を調べました。新人看護師の辞める理由を。
もちろんいろいろな理由があります。でも改善できる点があった。改善策を実行し、離職率を下げました。つまり、新人看護師というのは、いきなり医療現場に叩き込まれるわけです。
今まで看護学生だったのが、患者を受け持ち責任を負う。夜勤もあり生活のバランスが崩れる。受け持ち患者が急変したり、親しくなった患者が急に亡くなったり。それで心身を病むんですね。
我々は『リアリティ・ショック』と呼んでます。
 
それでみんな『もう無理。こんな仕事は続けられない』と辞めていく。
人の生き死にという医療現場の現実は変えられないからせめて、その現実に慣れる時間を作ろう。
 
そこで我々の病院では、入職して数ヶ月は夕方になったらとにかく帰らせる。数ヶ月は夜勤も入れません。先輩ナースからの指導の予定も、勉強会や委員会の予定も入れない。
 
医療現場だと、勤務時間以降に勉強会やなんとか委員会とかのエクストラの仕事が入りがちですが、夕方になったらとにかく帰らせる。そうやって『リアリティ・ショック』をやわらげる期間をなんとか作りました。
おかげさまで新人看護師の離職率は下がりました」
 
※新卒看護職員の離職率は10.3%とのこと。
出典 日本看護協会『2022年 病院看護実態調査』
20230301_nl04.pdf (nurse.or.jp)