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ダイバーシティ2.0ー10年後、イノベーションのタネは海外ではなく田舎からやってくる

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経済成長のために必要なのはダイバーシティだと言われ出したのはいつのころからだろう。

働き盛りの男性だけでアイディアを出していても限界がある、企業や大学に必要なのは女性や外国人、高齢者など様々な人材の視点だ、重要なのはダイバーシティだ、と皆が口を揃えて言う。

それはそれで素晴らしい。だがしかし、ほかの企業や大学と同じことをしているだけではダメだ。視点は常に次の一手。女性や外国人、高齢者を取り込んでいった次には何が起こるのか、ダイバーシティ2.0は何かを考えてみる。

 

1.グローバル消費文化により、世界の大都市は差異よりも共通点のほうが多くなる。

リンダ・グラットン『ワーク・シフト』(プレジデント社 2012年)にこんな一節がある。
<次に引用したのは、ある一七歳の女の子ーサミーと呼ぶことにしようーが二〇一〇年にフェイスブックの自分のページに載せたプロフィールの一部だ。

 

 好きなものはタトゥー、MINIの自動車、レッドソックスiPhone、UCGのブーツ、エクササイズ、カワイイ飲み物、パピルスグリーティングカードジューシークチュールの洋服と小物、セフォラのコスメ、肌を焼くこと、ハドソンのジーンズ、ブリトニースピアーズ。>(kindle版 1954/6585)

<さて、ここで質問。サミーは、どこに住んでいるのだろうか。東京?ムンバイの富裕地区?ひょっとしてロンドン?モスクワ?>(1995/6585)

この部分には二つのポイントがある。一つは、高度に発達した消費文化の中で、人は自分が好むモノの名前を用いて自分を語るということ。そしてもう一つ重要なのは、グローバル消費文化では、消費活動は地域性が薄くなってきている、ということだ。

 

世界中の大都市では、互いのライフスタイルは差異よりも共通点のほうが多くなってきている。

東京で上海でニューヨークでリオデジャネイロでロンドンで、スターバックスに集いiPhoneを操りgmailフェイスブックで交流する。

 

この大都市間のライフスタイルの均質化現象は、すでに10数年以上前(おそらくもっと前)から気づかれていた。

ベストセラー『負け犬の遠吠え』(講談社 2003年)の中で、著者の酒井順子は『ブリジット・ジョーンズ』や『セックス・アンド・ザ・シティ』が負け犬ストーリーであるとしたうえでこう述べた。
<「ブリジョン」「アリー」「SATC」の順で接してきた私は、

「げ、これって私のこと?」

と、いちいち感じてました。そして、負け犬っていうのは世界中にいるのだなぁという、何か頼もしいような情けないような気分になった。

 世界中とはいっても、サンプルは今のところロンドンとボストンとニューヨーク、そして自分がいる東京くらいなわけですが、その四都市にいるということは、世界中の都会という都会ーパリでも、上海でも、リオデジャネイロでも、そしておそはカイロなんかでもーに、負け犬は生息し、ブリジョン等の負け犬ストーリーに対して、

「わかるわかる」

と言っているのでしょう。>(同書 p.84-85)

 

かつて出会ったアメリカの外交官は言った。

「今や、カルチャーショックがあるのは東京とニューヨークの間じゃない。

東京とニューヨークは似ている。

アメリカの田舎と日本の田舎も似ている。

差が大きくてカルチャーショックを受けるのは、アメリカと日本の違いじゃない、都市と田舎の違いなんだ」

ニューヨーク育ちの彼はかつて、JETプログラムで東北地方の高校に赴任したという。

「赴任してアパートの窓を開けたら、目の前にぶわーっと一面の青い田圃が広がってね。…あの光景は、たぶん一生忘れない」

これから10年ほどは、ダイバーシティを作り出すのに企業や大学の運営に女性や外国人の参画を促すということでやっていくことになる。

しかし女性の社会参加が進んで男女の差異が今より減って、外国出身ではありながらさらに均質化した大都市出身者ばかりを採用していったら、10年ほどしたらダイバーシティの源泉であるメンバー間の違いというのは見かけより小さいものになる。
そのときに次のダイバーシティの源泉をどこに求めるか。それは「田舎」だ。

 

『2.東大生女子の3割は東京出身』(仮題)に続く。

 

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