ミレニアル世代、Z世代にとって現代日本社会は『進撃の巨人』だ仮説2。

さて、『進撃の巨人』と『鬼滅の刃』の共通点および昔のヒット漫画との違いは、準主役級の人が容赦なく死ぬ、ということではないか。
主人公のまわりの重要人物が、バンバン死ぬ。突然に、理不尽に、為す術なく死ぬ。
 
昔の漫画(主語が大きい)では、準主役級の人って、そうそう死ななかったのではないか(検証求む)。
『聖闘士星矢』や『ドラゴンボール』などでは準主役級の登場人物が死ぬというのは相当なことだったはずだし、『北斗の拳』では準主役級はかなり死んだけれど、それぞれに壮大な盛り上がりを見せて死んだ(炎のシュレンの話はしないでください)。
『魁!男塾』に至っては、みんな死んでも死んでも生き返る。王大人よ永遠に。
読者の側からすると、「この登場人物は準主役だからそうそう死なんやろ」という安心感を持ちつつスリルを楽しむことが出来る。まあ、「お約束」というヤツだ。
 
だが、『進撃の巨人』『鬼滅の刃』では、準主役であっても安心できない。あんなに生き生きと活躍していた登場人物が、次のページではあっさりと、突然に、理不尽に、為す術もなく、一コマで死ぬ。
1人以上、、「わ」というテキストのマンガのようです
 
で、ここから先は怖いこと言いますけど、この、戦友があっさりと突然に戦線から姿を消すというのは、非正規雇用時代の肌感覚のリアルなのではないか(仮説)。
昨日まで一緒に生き生きと活躍していた同僚が、ある日突然に派遣切りにあって姿を消す。明日は我が身かもしれない。
『進撃の巨人』『鬼滅の刃』の世界が、ミレニアル世代やZ世代に受け入れられたのは、読者側の世界の見方と重なったからではないか。
巨人と戦う、鬼と戦うというところこそ仮想の世界だが、自分の隣にいる人が急に姿を消すことがあり得るという世界観は、非正規雇用時代の、あるいは震災などを経験したミレニアル世代やZ世代のリアルなのではないだろうか。
 
だとすると、ミレニアル世代やZ世代は、「終わりなき日常をまったりと生きよ」と言われた時代や「この国にはなんでもある。希望だけがない」と言われた時代より、さらに絶望的な目で世界を見ていることになる。
 
だからどうせよというのは今のぼくには言えないが、世代による世界観に圧倒的な違いがあるということを知らないと、何を語るにもピント外れになることだけは確かだ。
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