美容業界では「新規顧客は基本的に何がしかの不満を抱えている」という話。

「どうしても若いうちはいきなり100点を狙いにいっちゃいますから。そこに力みが出ちゃう。ほんとはまず手堅く80点狙いにいかなきゃいけないのにね」
知人の美容師さんが言った。
 
「美容室の新規のお客さんて、基本的に何か前の店に不満があってお店を変えてるわけですから。髪を切る技術か、接客か、あるいは値段かはわかりませんけどね、トータルで満足していたら美容室変えませんからね」
 
あーそうですよね、美容室に通っていない女性はいないから、新規のお客さんも必ず前に通っていたお店があるわけか。引っ越しとかでなければ、前の店になにがしかの不満があってお店変えるわけですね。考えたこともなかったな。ぼくが言った。
 
「だからね、やっぱりトラブルもありますねこの仕事。正直、価格帯によってもトラブルの起こり方は違います」
価格帯?
「残念だけど、親しみやすい値段のお店ほどクレーマー的なお客さんも来ちゃいますね。お高めのところだとあんまり変なお客さんは来ない」
 
なるほど…。
価格が安いと何言ってもいいと思っちゃうんですかね…。
役所とかのイベントでも、参加費無料のイベントやるとクレーマー的な人が集まっちゃうけど、10円でも100円でもいいから参加費取るようにするとそういうクレーマー的な人は減るみたいですよ。身銭を切ると、モメると損みたいになるのかな。
 
「まあ全部がクレーマーってわけではないんですけどね。
でも正直、接客トラブルとそれからドタキャンはね、美容室とかそれから飲食店とかは頭痛めてますよね」
 
違う業界の話を聞くのは面白い。
ぼくが携わる医療分野だと、新規のクライアントは多くの場合「はじめて病院にかかる」か「久しぶりに病院にかかる」人が多く、「前の病院に不満があるから病院変わる」という人は少数派だと思う。
それにしても、「新規顧客は基本的に何がしかの不満を抱えている」というのは特殊な気がする。
ほかにそういう業界をご存知のかた、ご教示くださいませ。
付記)友人から、不動産業界も「新規顧客は基本的になにがしかの不満を抱えている」業界だと指摘をいただきました。なるほど。