「集合天才」Collective Geniusについて。

「集合天才」。
いい言葉だなーと最近じわじわと好きになっている言葉で、おおたとしまさ氏の『受験と進学の新常識』(新潮新書)で読んだ。
文脈としては、受験では様々な評価基準・評価方法があるが、全ての生徒が同じ評価方法で最優秀をとることを求めているのではない、いろんな能力を持つ人が組み合わさって、社会として「集合天才」を目指せばよい、という話であったと思う。

同書によれば、「集合天才」は、〈首都圏中学模試センターの職員や本間(勇人)さんと交わした会話の一部。〉(上掲書p.116)とのこと。

 

この言葉を知ったのはおおたとしまさ氏の本だったが、本間 正人 (Homma Masato) 先生のご指摘によれば、米国GEでcollective geniusということを言っているという。

「集合天才」というアイディアについて、手持ちの本から重なりそうなところをピックアップしてみる。

・1990年代初期、シカゴブルズが何度も優勝した。世界中のプレーヤーがマイケル・ジョーダン(MJ)にあこがれた。
<でも、彼だけの力で試合に勝ったのではない。彼が本当に天才だったのは、チームとうまくやることができたからだ。ブルズのフィル・ジャクソン監督は頭がめちゃくちゃいい人で、彼の指導方法は伝説となっている。彼は、1人のプレーヤーではチャンピオンシップに勝てないことをよくわかっていた。そして、MJを中心にして「ドリームチーム」を作ったのだ。>(Brian W.Fitzpatrickら『Team Geek Googleギークたちはいかにしてチームを作るのか』オライリー・ジャパン 2013年 p.4-6)

<隠れ家に1人でいたら、才能が開花することもない。秘密の発明をこっそり準備していたら、世界を変えることもできないし、数百万人のユーザーを喜ばせることもできない。誰かと一緒に仕事をしなければいけないんだ。ビジョンを共有しよう。仕事を分担しよう。他人から学ぼう。そして、素晴らしいチームを作るんだ。>(同書 p.13)

 

<というわけで、チームで働くときのポイントを紹介しよう。(略)

謙虚(Humility)
 世界の中心は君ではない。君は全知全能ではないし、絶対に正しいわけでもない。常に自分を改善していこう。

尊敬(Respect)
 一緒に働く人のことを心から思いやろう。相手を1人の人間として扱い、その能力や功績を高く評価しよう。

信頼(Trust)
 自分以外の人は有能であり、正しいことをすると信じよう。そうすれば、仕事を任せることができる。

この3つを合わせて「HRT」と呼びたい。読み方は「ハート」だ。痛みを軽減するものだから、苦痛の「hurt」ではなく、心の「heart」である。>(同書 p.15)

 

世界の天才プログラマーたちが集まるGoogleで、「HRT」というアイディアがチームづくりに活用されているというのは興味深い。

1人の全知全能のプログラマーが世界を変える、というのはSF映画の中だけのようである。実際にはさまざまな能力を持った人たちが集まって、まさに「集合天才」Collective Geniusを作っているのがGEであり、Googleなのであろう。

 

考えてみれば、ピッチャーだけで野球はできない。
桃太郎だって、家来が犬だけだったら困るだろう。
ルパン3世も次元と五右衛門という違う才能が集まるから話が膨らむ。
鋼の錬金術師だってサイボーグ009だって幻魔大戦だって異なる能力が集合天才を形成するのが肝要な点で…

結論)人は、連休明けには現実逃避したくなるもののようである。

 

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