新型コロナウイルス肺炎COVID-19の流行への社会不安はいつ収束/終息するか考。

新型コロナウイルス肺炎はいつ落ちつくのだろうかと考えてみる。
正確に言うと、新型コロナウイルス肺炎への社会不安がいつ落ちつくのか、ということを推定してみる。

 

社会不安が落ちつくためには、どこかしらが収束宣言を出すことが必要となる。医学的現象として新型コロナウイルス流行が収まっても(それもいつになるかわからないが)、これだけ世界的に不安が広がると、誰かが収束宣言を出さないと収まらない。
民間企業や一国の政府が収束宣言を出してもみなが納得しないから、最終的にはWHOが収束宣言を出すことになるだろう。
公的機関というのは無謬性へのこだわりと前例踏襲的な習性があるから、前例を探してみる。

 

SARS(いわゆる新型肺炎、重症急性呼吸器症候群)のときには、WHOは台湾での最後の感染者が隔離されたのち、潜伏期間の二倍の20日間を経過してから流行終息(「終息」は記事の表記にしたがった)宣言を出した(読売新聞web版2003年7月5日配信①)。
今回も同じ考え方でいくと、最低でも最後の感染者が隔離された日から潜伏期間の二倍の日数を経てWHOは収束/終息宣言を出すはずだ。

 

ここでbad newsがある。
ロイター 上海発22日のニュースによれば、湖北省で潜伏期間が27日の患者が発見されたという。
公的機関の持つ無謬性へのこだわりとあわせて考えると、最後の感染者が隔離されてから、最長潜伏期間27日×二倍の、54日間は収束/終息宣言を出さないだろう。
もし仮に今日発見された患者が最後の患者だとしても、4月終わりまで収束/終息宣言は出されないだろうし、もちろん今日発見される患者が最後の患者となることはない。
最善最速の理想的対応を人類がしたとしても新たな患者が出なくなるまで最短でも1〜2ヶ月(それでも楽観的すぎる)だろうから、理想的にものごとが進んでも6〜7月にならないとWHOは収束/終息宣言を出さないと見た。

 

民間経済には壊滅的打撃を与えるだろうし、すでに政策金融公庫は新型コロナウイルス肺炎で経営悪化した/する民間企業への融資相談を始めたという(③)。
また、スポーツ団体や選手の中にはWHOが収束/終息宣言を出すまではアジアへの大会参加を控えるというところも出てくるはずだ。オリンピック本番前の調整のための現地入りまでに収束/終息宣言が出なければ、有力選手の参加辞退もありうる。
たくさんの人々が集まること自体が感染リスクを高めるので、観客減は想定されるし、おそらくいくつかの競技では無観客試合・テレビ中継のみとなったり、最悪の場合、オリンピックの延期もありえるのではないか。

 

2020年は、ほんとうに厳しい年になる。

 

蛇足だが、新型コロナウイルスへの社会不安が長引くと、利用した詐欺も出現するはず。

〇〇に治療効果がある!みたいなあやしげな民間療法から、「新型コロナ肺炎でいきなり強制入院になったが口止めされている。治療に保険が効かないから金持ってきて。病院の人が取りに行くから」詐欺とか「新型コロナ肺炎で売り上げが落ち、経営が厳しくなった会社向けの極秘の政府融資がある」というM資金ならぬC資金詐欺とかの出現が懸念される。

 

http://www.med.oita-u.ac.jp/infectnet/SARS/SARS_report_00542.html

https://jp.reuters.com/article/china-health-incubation-idJPKCN20H03Q

https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

 

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