新型コロナウイルスに対する社会不安による社会変容について考える

新型コロナウイルスに対する社会不安による社会変容について考える。この話は大仏とピラミッドを目指して駆け足で進んでゆく。

ジャレド・ダイヤモンドは著書『鉄・病原菌・銃』の中で、ヨーロッパ人が世界を征服できた理由の一つとして病原菌をあげた。ヨーロッパ人は家畜と共生するライフスタイルにより病原菌との免疫を身につけ、それが他文明との接触の際、有利に働いたという仮説をかかげている。
病原菌が、人類文明に大きな影響を与えた、という論である。

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新型コロナウイルス(に対する社会不安)もまた、人類文明に大きな影響を与え始めている。
欧米では倫理と礼節により表出をコントロールされていたアジア人への差別的感情が吹き出し始めた。
交易と人的交流により繁栄を謳歌したグローバリズムも、大幅に人的交流の規模を縮小している。
飲食や会議・会合にイベントは中止や延期を余儀なくされている。
経済活動は人の活動なので、人の活動が落ちれば経済は縮小し、経済が縮小すればますます人の活動は落ちる。そのうち誰かが『コロナ・スパイラル』とでも名付けるだろう。

 

医学的な意味での新型コロナウイルスの抑え込みに関し、ぼく自身はそれほど悲観していない。
感染拡大はいつか止まるだろうし(そのいつかが大問題なのだが)、薬やワクチンもいつか出来るだろう(同上)。
SARSのときと同じく、いつか人類は新型コロナウイルスを克服すると思っている。

 

ただ、医学的な見方と社会的な見方はまた別だ。
社会的に、SARSのときと全く違うのは技術の進歩だ。
当時なかった無人化・マンレス化技術が、今や豊富に存在する。
新型コロナウイルス対策として、リモートワークやオンライン会議へ移行したビジネスの一部は、新型コロナウイルスが終息してもそのままリモートワークやオンラインにとどまるだろう。
イベントや式典の中止や縮小により、「実はこんな式典、なくても良くね?」ということに社会が気づいてしまう。
人と人との接触が感染を拡大するという名目で、一気に無人レジなどが普及し、もとには戻らない。
ハレリが『ホモ・デウス』で指摘した「無用者」問題が一気に顕在化する。

これだけでもお腹いっぱいだが、新型コロナウイルスへの不安は少子化も加速する。
結婚式の延期を決めたカップルは少なくなく、2020年に結婚式の数は減少する。我が国では結婚してから子どもを持つ夫婦が大半であり、そう考えると2020〜2021年に生まれる子どもは減る。
また、これはまじめに言うのだが、飲み会やイベントが減るということは男女の出会いも減る。もちろん少子化を解決するために恋愛に落ちるわけではないが、出会いが減れば恋愛が減り、恋愛が減れば結婚は減る。

また、世界的には、「接触フォビア」が現れていくだろう。
接触によりウイルスが広がるということが刷り込まれれば、人は接触を避けるようになる。
そのうち誰かがデータを取るだろうが、欧米中東での握手やハグ、頬への軽いキスなどの接触を伴う儀礼は減るだろう。

 

上記のように、新型コロナウイルスへの不安により社会変容が起こると推測する。
特に心配なのは、経済活動縮小と「無用者」問題である。
それを解決するには、社会不安を和らげつつ仕事を創出して経済を回せるような、大仏建立やピラミッド建設のような事業が必要なのだが、誰か良いアイディアないでしょうかと丸投げしつつ週末。

 

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