フランス語に「tutoyer(テュトワイエ)」「vouvoyer(ヴヴォワイエ)」という言い方がある。
「tutoyer」は「君/ぼく、オレ」の関係性で、「vouvoyer」は「あなた/私」の関係性で、もちろん動詞の活用からなにから全部違う。
ぼくは今まで基本的に日常生活を「vouvoyer」で過ごしてきた。
日本語構造にある性差やわずかな年齢差による権力勾配みたいなものはナンセンスで、思考と行動の硬直性をもたらすだけだと思うし、誰しもが他者に対して敬意を払うべきだと思うからだ。
だが昨日の朝、突如としてこう思った。
これからの人生、「vouvoyer」の関係性よりも「tutoyer」の関係性を増やしていったほうが幸せではないだろうか?
当然ながらこの場合、ぼくが一方的に相手のことを「tu(君)」として扱い、相手がぼくのことを「vous(あなた)」として扱うなら意味は無い。むしろそうした関係性は「vuvoyer」よりも忌避すべきものだ。また、職業生活においてはこのまま「vuvoyer」を貫くつもりだ。公私混同もまた、ぼくの望むものではない。
そのうえで、仕事を離れて、「対等に」「お互い」「心の底から」、「tu(君)」と呼び合える「tutoyer」の関係性を増やしていけたら、人生がより豊かなものになるのではないだろうか。