Twitter大量リストラに思う「一産業30年仮説」。

米国のハイテク企業でリストラが加速しているとかで、Twitterでも猛烈な首切りが行われているらしい。そんななか、一産業30年説という仮説を思い出した。
こんなものだ。
 
①最初の10年、その産業が海のものとも山のものともわからない勃興期には、ギラギラとした野心家、山師、オタク、はみ出しものといった人材が参入する。
 いわゆる高学歴のキラキラ陽キャみたいな人にはその分野は見下されている。
 
②次の10年、その産業やその分野が安定成長してくると、手堅く実務を回す人たちが参入する。
安定成長のためキチンとした人たちが必要なので、勃興期のクレイジーな創業者たちも、学歴でいうと中堅どころの実務家を雇う。
レガシー産業と比べるとまだリスキーな分野なので待遇は良くして人材を募る。
 
③最後の10年、その産業分野が世間から注目されると、好待遇や世間からの注目を目当てに高学歴キラキラ陽キャ人材が参入する。
彼らは勃興期のギラギラもなく安定期の手堅さもなく、今まで20年で築かれた業績のおこぼれに預かる。最後の10年に参入した人材が遺産を食い尽くして、その産業は没落する。
 
ドッグイヤーと呼ばれるIT分野ではそれが早回しで起こる。
Twitter社などのIT分野でものすごいリストラが始まっているが、おそらく経営者側から見て③にあてはまる人たちが急速にクビを切られているのだろう。
イーロン・マスク氏は明らかに一本ネジの飛んだクレイジーなテックジャンキーの①の人だし。
 
蛇足ですが「中興の祖」みたいな人は②の人材ですね。
①のクレイジーな創業者と②の手堅く堅実な実務家が、お互いに「こいつとオレとは全然別の“人種”だよな」と思いながらも尊重しあう関係性がツボです。
ビートたけしの『Brother』に出てくる日系アメリカ人のおじいちゃん会計士さんに萌えます。
イタリアマフィアの襲撃を前に、「この人巻き込むわけにはいかねーな」って感じで、殺される覚悟を決めたビートたけし演じる「アニキ」が「ご苦労さん、もう上がっていいよ」って声をかけると、会計士さんが「これだけやっちゃいますから」と残業するようなシーンがあるんすよ。
あれがいいんすよね。
 
若い頃は①の人材に憧れましたけど、今は②の人たちにぐっときますね。缶コーヒーのCMの「世界は誰かの仕事で出来ている」的な。
歳とって分かりましたけど、そもそも①の人材は憧れてマネしてなれるもんじゃなくて、天性のものとかオタク気質のなせるわざですね。
 
さらに蛇足。
上では①、②の人を良く書いてますが、②の後期に、実務家ではあるが形式至上主義者、「何かあったらどうするんだ」な人などが紛れ込んできて、③の時期に「大企業病」も始まるのだと思います。
 
一産業30年仮説はあくまで仮説に過ぎないが、一考に値する仮説だと思われるのでご紹介まで。