日大アメフト部事件に思う。

<まず、ネット上の情報は基本的に紙に書かれている情報がもとです。

 誰かが、紙に書いた情報を、別の誰かが打ち込んで、それにコメントを付けて付加価値をつけていることになっています。

 しかし、その付加価値がついたように思える情報は、実態的には、何の価値もないモノが多い。

ー無価値なら、ネットは、見なくていいですね。

 いや、そうでもないんです。『炎上』という形で、世間が興奮した現象化の部分には意味があります。 

ーあの、『ブログ炎上』と呼ばれる、書き込みが殺到して、大変な騒ぎになる現象ですね。

 いま、こういうのが、人を刺激するのか?

 いま、どんなことをすれば、人は興奮するか?

 この二点がわかります。 

 それが、世間の人々の注目を集め、人々を興奮させるのならば、そこにお金をかければ、商売として成立します。

 -いま、何が人々の関心を惹くのかが、『ブログ炎上』でわかるのですね。

 だから、ネットは見ないよりは、見たほうがいいです。炎上するのは、大衆の感情を刺激する何かがあったということの証です。そのことで、いまの日本人はこんなことで、刺激されるんだ、ということが明確にわかります。>
佐藤優『人たらしの流儀』PHP研究所 2011年 p.88-89)

 

日大アメフト部の話で念頭に浮んだのがこの一節だ。

ナナメに見ればアマチュアスポーツの一試合での反則行為がこれほどまでに炎上するとは、おそらく誰も思わなかったのではないか。

ぼく自身がこの反則行為を一番最初に知ったのはアメフト経験者の友人がシェアしたFacebook上の記事だった。「こんなひどいことが許されるのか」というコメントとともに記事がシェアされていた。
あれよあれよという間に日大アメフト部事件は炎上し、全国のお茶の間やカフェでこの話題が語られている。とある地方都市で子どもたちが「日大タックルだ!」といってふざけあっているのを見た、と知人Tさんが教えてくれた。津々浦々、という感じである。

 

当該反則行為(ホイッスルのあと、プレイが完全に止まったあとに行われたあの行為は、反則というか暴力行為なのであろう)についてや日大アメフト部の中でのことを云々する資格も知識もぼくにはない。ぼくが興味を惹かれるのは、なぜこの事件がこんなにも炎上し続けているのか、ということだ。上掲のように、何がネットを燃やすのかは、いわゆる世間、現代日本社会がどういうものかを知るのに役立つからである。
世間に従うもよし抗うもよし、そこはみなが好きにすればよい。だが、効率的に世間に従うにも戦略的に世間に抗うにも、世間というものがどういうものかはわかっておいたほうがよいのだろう。

そんなことで、なぜ日大アメフト部事件がこんなに炎上したのかを考え続けているのだが、先日見かけたtweetが新たな視点を与えてくれた。

 

もけ @andexihaeienni
今回の日大アメフト問題、何故ここまで猛烈に日本全土の関心を集めたのか(昼飯をファミレスで一人で食ってても近所からこの話題を語り合う声が聞こえてくる)ようやく合点がいった。そう、コレは日本版MeTooなんだ。ただしセクハラではなくパワハラについてだけど。
日本人皆が宮川君の立場なんだ

9:53 AM - 24 May 2018>

このtweetはあくまで仮説に過ぎないが、大変興味深い見方だ。
MeTooのムーブメントが日本では今ひとつ広がらなかったが、日大アメフト部事件を語ることで(内田監督以外の)皆が日本のパワハラ風土を告発しようとしているのならば有意義だ。あわてて付け加えると、パワハラ風土の告発という意図が意識的なものと言いたいのではない。日大アメフト部事件のどこが日本人の琴線に触れ、それはなぜか、という話をしたいのである。

上記の仮説が正しいのかも、この話がどこに転がっていくのかわからないが、今後も注目していきたい。

 

www.hirokatz.jp

 

 

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