「いま頑張らなくていつ頑張るんだ」。友人Yが書いた。

「コロナで大変だけど頑張るよ。いま頑張らなくていつ頑張るんだって感じだね」
友人の外科医Yがそんなことを書いた。Yは院長として、地域のコロナ診療、感染対策の陣頭指揮を執っている。


医者人生を送っていると、不意打ちのようにこんな名言に出会う。
「いつも病院にいて大変だねって?医者が病院好きで何が悪い」と言った友人M。
「この患者さんの命が助かるなら、ぼくはお祈りでもオマジナイでも何でもやりますよ」と言った指導医O先生。
そうした人たちが、医療現場を支えている。

 

映画『パッチ・アダムス』の中で、ロビン・ウィリアムス演じるパッチ・アダムスが医学部に入学した時、威厳そのものの教官が学生に言う。
「君たちは医学を学ぶ。これからは人間ではなく、医者になるのだ」(うろ覚え。そのうち確認しますので…)
パッチ・アダムスは「医者である前に人間であるべきだろう」とクラスメイトに言った(はずだがうろ覚え。この映画で最大のナゾは、茹で立てパスタでいっぱいのプールに入ってはたして楽しいものなのだろうか、というところだがそれはともかく)。

 

平時にはこうした、生まれついての医者、骨の髄まで医者、みたいな医者は時代錯誤的と言われることがある。医者も「働き方改革」、仕事として割り切って、9時5時(実際には朝は9時より早いけど)で帰る時代、みたいな感覚が主流になりつつある。
だが非常時には、こうした骨の髄まで医者、みたいな医者は頼りになる。

 

仕事として割り切った医者と、生き方としての医者と、どちらがよいかはわからない。その人の置かれた環境やライフステージもあるし。
だが人間と病気との戦いは、おそらく形を変えながらも永遠に終わらない。抗生剤の登場により克服したと思った感染症が、新型コロナとして現れて人類を翻弄しているように、病気というのはこれからも次々と人類に襲いかかってくるはずだ。
病気との戦いが永遠に終わらない非常時だとしたら、こうした「骨の髄まで医者」という存在は、やはり無くてはならないものなのだと思う。

 

〈終わらない歌を歌おう
君やぼくや彼らのため
終わらない歌を歌おう
明日には笑えるように〉(THE BLUE HEARTS『終わらない歌』)

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