学校健診の話。

「ものごとは静止画で見るな、動画でみよ」 敬愛するH先生の教えだ。

 

2024年5月末現在のここ数日、タイムラインは学校健診の話題でもちきりだ。

婉曲にいえば男性医師が女子生徒の診察をする際に脱衣させるのはいかがなものか、というのが論点だと思う。

さまざまな立ち位置があり、一部では「それならいっそ学校健診やめてしまえ」みたいな極論もある。

だがちょっと待ってほしい(朝日新聞語法)、本当に学校健診をやめてよいのか。

 

「学校健診をやめる」ということを静止画で考えてみる。

やめた瞬間、羞恥心から解放されてほっとする女子生徒(女子に限らないが)が出現するだろう。それは認める。

けんたろうさんだって「オレのおかげだ」とご満悦だ。

全国で健診にかり出されていた医師たちも、これで本業に専念できると正直ほっとするだろう。

 

だがその静止画のポーズボタンを解除して、動画でものごとを見てみる。

学校健診が廃止されて1年2年3年と経つうちに、ぽろぽろといくつかの病気がこじれる子どもたちが出てきてしまうだろう。

一例を挙げれば側弯症。

東京都予防医学協会年報 2016年版第45号によれば、小学校の脊柱側弯症検診の発見率は0.3パーセント前後。

学校での側弯症検診により、1000人の生徒がいれば3人前後が側弯症を発見され、さらなる医療へとつなげられている。

 

「学校健診廃止」を動画で見ると、そうした子どもたちがよりよき未来からこぼれおちてしまうのが懸念される。

「学校で一律にやらずに、各家庭で病院連れて行けばいいじゃないか」という意見があるのはわかる。

だが、家庭により子どもたちへの接し方に濃淡や温度差があり、社会の多忙化に伴い「子どもを病院に連れていく時間もない」家も少なくないのはネットユーザー諸賢ならご存知のはずである。

 

学校健診の場で、生徒が羞恥心を感じる場面はできるだけ少ないほうがよい。

そのための手段を講じながら、1人でも多くの子どもたちが避けられる病気を避け、よりよい未来に生きていけるようにロングスパンの動画でものごとを考えてゆくのが我々大人の責務ではないだろうか。

付記
・側弯症発見率 https://www.yobouigaku-tokyo.or.jp/nenpo/pdf/2016/04_04.pdf

学校健診の動画を巻き戻しすると、学校健診のはじまりは1888年(明治21年)とのこと。

www.gakkohoken.jp

学校健診の根拠法。

elaws.e-gov.go.jp

もちろん今行われている項目や方法が最善最高不変とは限らない。 たとえば昔行われていた座高測定は、行う意義が乏しいとして平成26年に廃止された。

www.hcc.keio.ac.jp