2022-01-01から1年間の記事一覧

人生の各ステージでお金と時間をどこにつっこむか問題。

お金と時間の使い方は、年代によって変わってくる。何が正しいかの絶対解はない。 たとえば若いときにがむしゃらに働いて質素倹約して早期に引退するFIREというライフスタイルがある。 FIREも資産形成もよいが、若い時に時間とお金を突っ込む価値があるのは…

子であることの苦しさ、親であることのほろ苦さ

〈「とてもいいストーリーじゃないか」少年の父親は言った。「どんなにいい出来か、自分でわかってるかい?」 「お母さんがパパに送りつけたのは心外だったよ、ぼく」 (略) 「しかし、おまえがあの小説で書いたカモメについてはどこで知った?」 「パパか…

親子という”業”-『孟子』と『毒になる親』

〈(略)「舜が歴山で耕作していた時、田んぼに行っては天を仰いで号泣したと聞きます。どうして号泣したのでしょうか」。 孟子が答えた。「親に愛されないことをうらめしく残念に思い、また親を思い慕ったのだ」。 (略) 『自分は力を尽くして田んぼを耕し…

妓夫太郎と『ナナメの夕暮れ』

〈いつもの散歩コースの神社の階段を降りて大通りに出た。 すると、頭にすっぽりと黒いフードをかぶった暗い目をした男とすれ違った。 一瞬目があったけど、世界への恨みを募らせたような目つきが怖くて思わず目を背けた。 もう少し目を合わせている時間が長…

生きることの天才、逝くことの達人(文学作品編)

生きることの天才や達人もいれば、逝くことの天才や達人もいる。文学作品の中にも、そうした逝きかたの天才や達人がいる。 〈(略)臨終だといっても、友人や親戚の者は喜ぶでもなければ、悲しむでもない、いや、かんじんの死んでゆく当人さえもが、その未練…

水槽の金魚と大海の深海魚~『鶏口牛後を考える』の続き。

先日マックでJKが(注)。 「なんか進路で迷っちゃってー。超アッタマいーA大学にギリで入るのと、まあまあのB大学行ってヨユーでトップでいくのとどっちがいいかなーって」 「超わかるー。なんかまわり超アタマいいと、その中で深海魚みたいに落ちこぼれる…

「古文漢文は役に立たないから不要」と言う前に。

【備忘録。Twitterで書いたやつのまとめなので断片的で、話があちこちに飛びますが覚え書きとして】 「古文漢文は役に立たないから不要」という人がいる。とんでもない、という話。 ・「春は揚げ物」とか「春はあげぽよ」とかで笑えるのは古文という共通の知…

理系は人間の意志を徹底的に排除し、文系は人間の意志を積極的にカウントする仮説。

文系理系の線引きにこだわりはないが、以下仮説。 文系の学問ではどこかしらに人間の意志や意図が入る(仮説)。理系の学問では徹底して人間の意志や意図を排除する。 だから文系的思考の人たちは感染症流行やその抑制に対しても「裏で誰かの意志が働いてい…

コロナ禍と確率ー「アンサンブル確率」と「時間確率」

破滅と確率についてタレブはこう語っている。 〈(略)「重要なのは順序であり、破滅の可能性があるところでは費用便益分析がまるきり無意味になる」(略)〉(ナシーム・ニコラス・タレブ『身銭を切れ』ダイヤモンド社 2019年 p.388.原題『SKIN IN THE GAME…

「見るべきほどの事をば見つ」の話。

「見るべきほどの事をば見つ」。 平家物語で新中納言知盛の最期の言葉である。 知盛は、見るべきものは全て見た、と言ってこのあと海に身を投げる。 文脈的には「見るべきほどの事」とは平家一門の最期のことだという(『平家物語』角川ソフィア文庫 平成十…

「Forget about it!」。

人生に力強さを与える言葉というものがある。ぼくの場合は「Forget about it!」がその一つだ。 ブルックリン生活が長かったわけではない。アルパチーノとジョニー・デップの映画『フェイク』(原題『DONNIE BRASCO』)で覚えた。 主人公のジョニー・デップが…

コロナ禍とアイン・ランド『肩をすくめるアトラス』

世界はふたつに分けられる。 ぶつくさ文句を言いつつも問題解決に関わろうとする者たちと、文句だけ言っていれば誰かがどうにかしてくれると思っている者と。 アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』(“Atlas Shrugged”)の主題の一つはたぶんそれで、少な…