イタリアでのトラブルでは思いっきり困るといいらしいというお話。

「イタリアではね、トラブルに遭ったときに怒っても誰も気にしてくれません。怒ってるなあでおしまい。
だからトラブルに遭ったときはね、思いっきり困ってみせるんです。困った困ったどうしようってね」
イタリアに長く住んでいたというその人が、カウンターの中から話しかけた。
半地下の店。料理の勉強で、イタリアに長く居たという。

 

「イタリアの空港でね、レンタカー借りに行ったら、予約していたはずの車が無いって言われたんです。
こういう時に怒ってもダメ。
“予約してたのおかしいじゃないか!”って怒ってもみんなふーんでおしまい。
その時も、“困った困ったどうしよう。乗り慣れたあの車種じゃないとうまく運転できない。ほんとうに困った”って思いっきり困ると、わらわらとあちこちから人が出てきて“どうしたどうした。あの車が無いのか。あっちのほかの店に置いてあるから借りてきてやる”と助けてくれました。
イタリア人てそういうとこある」

 

イタリアも北と南で違うだろうし、まあ人によるんだろうけど面白い。

 

『テルマエ・ロマエ』作者のヤマザキマリ氏によれば、イタリア人はしょっちゅう怒ってるらしい。
〈ラテン語 イタリア人が怒るというのは、何に対してですか?お店で店員さんに怒るとかですか?
ヤマザキ 何に対してもです。テレビの画面に向かって怒ってる人とかいますよ。汚職をした政治家が画面に映し出されると「お前がイタリアをダメにする!」とか叫んでみたり。街中でもしょっちゅう喧嘩してるのを見かけますね。お前の自転車がわしの車に傷をつけた、いや俺じゃない、いやお前だ、みたいなやりとりはしょっちゅう(笑)。〉
(ヤマザキマリ、ラテン語さん『座右のラテン語』SB新書2025年p.28-29)

 

テレビに向かって怒ってる人とかはこのXでもよく見かけるが、イタリアではみんながしょっちゅう怒ってるとするとお互いに怒ってる状態というのはイタリア人にとって平常運転なのだろう。だからトラブルのときに怒ったとしても「いつも通りで変わりなし。ヨシ!」となるのではないだろうか。

 

それに対し全力で誰かが困ってるというのは珍しい非常事態なので、困ってるとイタリア人はよってたかって助けてくれるのかもしれない。

 

そこらへんはイタリアに詳しい人にじっくりお話を聞いてみたいところだが、今日はこれくらいにしておく。
あんまり話が長いと、パスタが伸びちまうからな。
それじゃまた。チャオ!