2021-01-01から1年間の記事一覧

「武器」や「道具」として言葉を使うということと他言語経験(2)

言葉を「武器」や「道具」だと認識して緻密に扱うということを論じている。 母国語の中だけで生きていると言葉は自分の肉体のように当たり前に存在するように感じられるのではないか。だから母国語世界のみに生きていると、言葉意識して学ぶとか、あるいは使…

週刊現代記事『ワクチンをまだ打たないほうがいい』に心底憤る。

今発売中の週刊現代の「ワクチンまだ打たないほうがよい。下手したら死ぬ」という記事を読んだ。はっきり言って、非常にタチの悪いものだった。 まだ未知のワクチンだから様子見ろ(打つなとは言ってない)という論調だが、現在世界中で計8億9288万回ワクチ…

「武器」や「道具」として言葉を使うということと他言語経験(1)

言葉を過不足なく使うことに関心がある。 以前に友人と新橋の地下のお店で鴨すき鍋をつついていた時の思いつきに向かって話は進んでゆく。 発端は、なぜ現代の日本の政治家には名スピーチの名手がいないのか、という疑問であった(異論があるとは思う)。 現…

教養とは、金をかけずとも人生を楽しみ、波風立てずに世を渡る術である、という話。

「ぼくは昔からこのウイスキー一筋って決めてるんだよ。値段が下がらない酒、いくら値切れどマッカランさ」 通っていたジャズバーの忘年会で、常連の人が言った。 いつか使うべき大人の教養として、15年ほどこの言葉は温めている。 教養とは、お金を使わずに…

言葉と小銭とマグカップ。

誰かの言葉が頭にこびりついて強迫観念のように日々につきまとい、行動を支配して人格と人生を形づくる。そんなことがある。 言ったほう書いたほうは忘れてしまっても、聞いたほう読んだほうにはしっかり影響する。だから言葉を発することは恐ろしい。 言葉…

田中角栄のもとにはなぜ多くの政治家が集ったかー「カバン持ち」と知恵・情報。

今になってやっておけばよかったと後悔しているものの一つに「カバン持ち」がある。 この人に教えを乞いたいと思う人に頼み込んで、文字通りカバンを持たせてもらう。朝も昼も夜もその人にくっついて行って、カバンを持ちドアを開け許されれば会合や会食のと…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐかfinal.

老害の話final. 団塊ジュニアの一員として、これから自分が老害化しないための道を探ってきた。その中であえて書かなかったことがある。 「老害化しないために、常に価値観や意識をアップデートする」みたいありがちな文言だ。 もちろん理由があって、価値観…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐか(その7)~坂本竜馬は剣の達人だった、という話。

老害にならないためには、という話。 老害化を予防するために、年長者が若者に対しできることしたほうがよいことは3つある。 ①邪魔をしない ②助ける ③覚悟する だ。 ②の助けるについて論じているが、〈助ける〉というのは一部、〈与える〉と言い換えられるか…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐか(その6)~老害にならない助け方

老害にはなりたくねえよなあ、人間だもの。と思っていろいろ書いている。 老害化を防ぐ方法として、若者世代に対し ①邪魔をしない ②助ける ③覚悟する を挙げた。 この中で、②の助けるにも3つのポイントと3つの方法がある。 ポイントは ②-1. 早く助ける ②-2. …

ミレニアル世代、Z世代にとって現代日本社会は『進撃の巨人』だ仮説2。

さて、『進撃の巨人』と『鬼滅の刃』の共通点および昔のヒット漫画との違いは、準主役級の人が容赦なく死ぬ、ということではないか。 主人公のまわりの重要人物が、バンバン死ぬ。突然に、理不尽に、為す術なく死ぬ。 昔の漫画(主語が大きい)では、準主役…

ミレニアル世代、Z世代にとって現代日本社会は『進撃の巨人』だ仮説。

先日、先輩のYさんとミレニアル世代の話をしたので忘れないうちに覚え書き。あやふやな印象論にとどまることを明記しておく。 2000年代に成人した、1980年代生まれの世代をミレニアル世代という。 その下の、1990年代後半生まれをZ世代と呼び、それぞれの特…

「後医は名医」を破るとき。

医者の世界では昔から「後医は名医」と言う。 後医、あとから診る医者は、病気の経過も分かっているし、前の医者が行った治療の効果がどうだったかなどの情報も多いので、前に診た医者の見立てや治療を軽々しく批難しないほうがよいという戒めだ。これは医者…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐか(その5)~T教授と林住期。

〈人生に必要なものは、じつは驚くほど少ない。 一人の友と、 一冊の本と、 一つの思い出があれば、それでいい。 と、言った人がいた。友は性別を問わない。配偶者のこともあれば、遠方の友でもいい。私の場合なら、一匹のイヌをつけ加えたいところだ。〉(…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐか(その4)~ヨーロッパ人の老害化対策についての妄想。

「EUはね、僕らにとって“フロンティア”なんだ」 ロンドンの安宿で彼は言った。 1993年の2月のこと。 前年に欧州連合条約が調印され、欧州連合が発足して、何か新しいことが始まっていた。 安宿で相部屋だった彼はフランス人で、ロンドンの金融機関にインター…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐか(その3)~言語世界の軛から自由になる

ある人が国家主席にたずねた。「何億人もの人たちを束ね、権力を勝ち取る秘訣はなんでしょうか」国家主席はニヤリと笑って答えた。「長生きすることさ。誰よりもね。そうすれば、ライバルは勝手に死んでゆく」 年功序列、日本的な「先輩-後輩システム」とい…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐか(その2)~べき論ではない。美意識である。

べき論ではない。美意識である。 老害の話。 日本最大・最後の人口ボリュームゾーンである団塊ジュニア世代が老害化しつつある。大勢は変わらないだろうが、せめて個人としては老害化に抗いたい。 〈私たちの世界は、昔に比べれば優しく、より寛容で公正で、…

日本はいかに団塊ジュニア世代の老害化を防ぐか~ローガイ、ダメ、ゼッタイ!

老害にはなりなくない。なるならせめて、raw guyが良い。 raw guyに大した意味はないが、先日、地元の中学生に「夢と仕事」みたいな話をするお仕事をいただいて、そんなことを思った。 不特定多数の、しかも33歳年下の人たちに何を話せばいいのだろうっての…

◯◯という食べ物でコロナがおさえられるかも、と××大学が研究を発表」というニュースを見ると悲しくなる

誰かをdisりたいわけではないのだが、「◯◯という食べ物でコロナがおさえられるかも、と××大学が研究を発表」というニュースを見ると悲しくなる。 英米は物量とスピード感でワクチンを開発してバンバン打って感染を減らしている。 日本はいつまで「おばあちゃ…

ぼくが(過度の)謙遜をやめた理由 「自分を虫けらだと思うヤツは 踏みつけられる」(フランスのことわざらしい)の話。

2020年に一つやめたことがありまして。 それが「(過度の)謙遜」です。 たまたまおほめいただいたりした場合に、明らかに事実と異なるのでなければ、(過度の)謙遜をするのはやめようと思いました。 ほめていただいた場合に「いえいえ私なんてたいしたこと…

福田秀『STAND UP START』に学ぶ「超回復思考」のワナ。

〈俺はね 超回復思考って呼んでるんだけど〉 〈苦しんだ分だけ結果が出る そう思い込む思考のこと 炎天下の中 水を飲まないトレーニングのほうが効果がある 麻酔を使わない出産の方が愛情が深まる 死に物狂いで勝負に勝てば1億5千万手に入る 不安が根拠を欲…

現在発売中の『週刊プレイボーイ』3月8日号に、コロナ禍での病院経営についてコメントさせていただきました!

現在発売中の『週刊プレイボーイ』3月8日号に、コロナ禍での病院経営についてコメントさせていただきました!よろしければぜひお読みください。取材してくださった編集部の皆様、貴重な機会をありがとうございます。

なぜアメリカの国際便クルーはベテランぞろいか。あるいはストリート・ナレッジの話。

〈わたしは忘れるから、書こうとするのだ。 後から、情景も、感動も、においすらも、思い出せるように。つらいことがあったら、心置きなく、忘れてもいいように。〉(岸田奈美『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』小学館 2020年 p.117) …

もし誰かが公の場で「気に入らないヤツらを再教育キャンプ送りにしろ!」と言い出したら。

まったくもって仮定の話だが、もし誰かが公衆の面前で「気に入らないヤツらは再教育キャンプに送れ!」と言い出したらどうしたらよいだろうか。しかも、あまりになんの疑いもなく自信たっぷりに言うものだから、周りの人も「いいね!」とか言い出していたら…

ちきりん氏の「再教育キャンプ」論が怖い理由

「Homo homini lupus.人間は人間にとって狼である」。プラウトウスが『アシナリア』の中でそう言ったという(金子晴勇編訳 「エラスムス『格言選集』」知泉書館 2015年 p.14)。 不勉強ゆえプラウトウスも『アシナリア』もよく知らないが、まさにHomo homini…

ちきりん先生、おかしいです!-自分の頭で考えよう、ただし「無知のヴェール」とともに。

森氏の辞任を受けてちきりん氏がこんなツイートをした。 何度考えてもおかしいと思うので批判しておきたい。 近代国家は、個人の内面まで土足で踏み込まないものです。 森氏の思想信条や言動が公人としてふさわしくないからといって、中国共産党みたいに教育…

峰宗太郎ほか『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』を読んで、ニューノーマルはいっときの話ではない、と覚悟した話。

〈峰: はやる気持ちを抑えて、思考実験してみましょう。米国の感染者数は2020年11月16日時点で16万6226人、と、ニューヨークタイムズ紙が報じています。同日の日本は1685人ですね。感染者の人数にざっくり100倍の差があるわけです。もしですよ、米国で、あり…

峰宗太郎ほか『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』を読んで、ニューノーマルはいっときの話ではない、と覚悟した話。

〈峰: はやる気持ちを抑えて、思考実験してみましょう。米国の感染者数は2020年11月16日時点で16万6226人、と、ニューヨークタイムズ紙が報じています。同日の日本は1685人ですね。感染者の人数にざっくり100倍の差があるわけです。もしですよ、米国で、あり…

clubhouseやってて、いにしえの病院の「タバコ部屋」を思い出した話。

手に持てるものは限られている。何かを手にしたければ、何かを手離さなければならない。 音声SNS、clubhouseで遊んでいて、ああこれは、「ぼくにとって」タバコ部屋だ、と思った。 1999年に医者になったころはまだ、どの病院にも「タバコ部屋」というのがあ…

clubhouseを覗いてわかったこととclubhouseの未来図。

「うちの病院からね、あちこちの離島に若手が赴任するでしょ。あちこちの離島を派遣医師用にイントラネットで結んだら、当初予想しなかった使われ方したんです」 10数年前に沖縄の病院で聞いた話。 「最初はね、自分のわからない症例をお互いに相談したりし…

コロナワクチン準備中~私を月まで連れてって。

〈Fly me to the moon 私を月まで連れてって Let me play among the stars 星の海で遊ばせて Let me see what spring is like on 木星や火星の A-Jupiter and Mars 春ってどんなものかしら〉 あの頃は、毎晩ヘレン・メリルがかかっていた。 実話か都市伝説か…