”幸せ活動”とは何か~幸せは、いつだってリバーサイドにある。

「ブラザー、明日はオレ“幸せ活動”だから。また明後日な」 “幸せ活動”? 20歳の僕はきょとんとした。 「“幸せ活動”はさ、休みの日に彼女と会ったり友達と遊んだりすることさ。じゃあまたな、ブラザー」 銀座のビヤホールでひと夏ホール係として働いていた僕…

なぜあんな立派な人がコロナやワクチンの陰謀論にハマるのか(4)~陰謀論は人間の闇の欲望にフィットする&対策

2020年から始まったコロナ禍で、何人もの人が陰謀論に取りつかれるのを見た。その中には社会的地位や名誉のある立派な人もいて、なぜあんな立派な人が陰謀論にハマるのだろうかと不思議に思ってきた。 ずっと考えてきて、少しだけ答えが見えた気がする。 人…

美容業界では「新規顧客は基本的に何がしかの不満を抱えている」という話。

「どうしても若いうちはいきなり100点を狙いにいっちゃいますから。そこに力みが出ちゃう。ほんとはまず手堅く80点狙いにいかなきゃいけないのにね」 知人の美容師さんが言った。 「美容室の新規のお客さんて、基本的に何か前の店に不満があってお店を変えて…

コロナワクチン陰謀論の見破り方(tweet詰め合わせ)

コロナワクチン接種が急速に進むなか、ワクチン陰謀論に基づく反ワクチンのネット言説は根強い。 たまたまぼくの生業が医業なのでワクチン陰謀論にからめとられることはなかったが、生きている限りいつほかの分野の陰謀論にからめとられてしまうかわからない…

なぜあんな立派な人がコロナやワクチンの陰謀論にハマるのか(3)~『ファスト&スロー』を下敷きに考えると。

「なぜあんな立派な人がコロナやワクチンの陰謀論にハマるのか」ということについて考えている。 www.hirokatz.jp www.hirokatz.jp ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』によれば、人間の判断は全く異なる2つのシステムによって下されるという。 す…

残りの5kmが一番キツい

三浦半島を24時間以内に歩いて一周するという行事に参加したことがある。コースは全長100kmに設定されている。茅ヶ崎をスタートして、テクテクと歩き続けて東京湾側に抜ける。夕暮れ時には東京湾の向こうに房総半島を眺めつつ歩を進めてゆく。横須賀について…

残りの5kmが一番キツい

三浦半島を24時間以内に歩いて一周するという行事に参加したことがある。コースは全長100kmに設定されている。茅ヶ崎をスタートして、テクテクと歩き続けて東京湾側に抜ける。夕暮れ時には東京湾の向こうに房総半島を眺めつつ歩を進めてゆく。横須賀について…

なぜあんな立派な人がコロナやワクチンの陰謀論にハマるのか~複雑な世界を理解するときの落とし穴(2)

複雑なこの世界は、今日もまた複雑化を加速させる。 〈南カリフォルニア大学の研究者によると、一九八六年の人は一日平均、新聞約四〇部に相当する情報にさらされていた。それが二〇〇六年には、四倍以上の一七四部相当になった。まいにち誰かが玄関ドアのま…

なぜあんな立派な人がコロナやワクチンの陰謀論にハマるのか~複雑な世界を理解するときの落とし穴(1)

人間社会は複雑さを増すばかりだが、個としての人間はその複雑さをそのまま情報処理できるほど賢くない。そんな話をユヴァル・ノア・ハラリが書いている(『21Lessons』河出書房新書 2019年 16章「正義」)。 個体としての人間が情報処理できる関係性はせい…

【仮想記事】7月19日からワクチン接種数が急減した日本独自の意外な理由【仮想記事】

全国でのワクチン接種数、今週7月19日~7月24日の期間は少なめになるはずです。 これはファイザー社ワクチンの場合の2回目となる3週間後がお盆休みの時期になるためで、小規模の医療機関が今週は1回目接種を見送るから。 来週以降、「先週ワクチン接種が急減…

なんだろう。ウソつくのやめてもらっていいですか、週刊女性セブン『隠れ副作用死者はまだまだいる!』と近藤誠氏とYahoo!ニュース(改題)

『隠れ副作用死者はまだまだいる!』 おどろおどろしい文字が表紙に踊る。 週刊女性セブン2021年7月29日・8月5日号だ。 記事(p.154-155)の主は近藤誠氏。 がん放置療法で人心を惑わせたあとは、コロナで荒稼ぎするつもりだろうか。 近藤氏の主張の中にウソ…

職業人生後半で身に着けるべき4つの「見る目」とは。

ここのところ職業人生後半戦ということを考えている。 職業人生後半戦で養わなければならないものに4つの「見る目」がある。 「人を見る目」 「社会を見る目」 「未来を見る目」 「己を見る目」 の4つだ。 まず大前提として、いちプレイヤー、いちソルジャー…

インプットも大事、アウトプットも大事。しかし最も大事なのは思索である、という話。

インプットは大事だ。 アウトプットも大事だ。 だがインプットとアウトプットの間にあるプロセシング、人間で言えば思索というものの大事さは、近年軽視されているように思う。 良質なインプットのためには、意識的に時間を取らなければならない。 良質なア…

コロナワクチン接種、65歳未満も打てる人打ちたい人はとにかく早くと煽る理由。

自治体によってまちまちですが、いよいよ65歳未満のかたのワクチン接種が本格化します。 www3.nhk.or.jp 64歳以下 ワクチン接種 14区で6月末までに開始見通し 東京23区 | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース65歳以上の方々の接種を行っています…

腹が立ったときに見習いたいのは山崎豊子とスウィフト。

腹が立った時に見習いたい人が2人いる。山崎豊子氏とスウィフトだ。 都市伝説の類いかもしれないが、医療小説『白い巨塔』が書かれたきっかけをご存知だろうか。一説には、これは山崎豊子氏の体験をもとに書かれたという。 山崎豊子氏がある時大学病院を受診…

渋沢栄一氏の新紙幣に思う。

新紙幣が渋沢栄一になる意味を考えている。集団意識というか国家意志というかそんな漠然としたもの。 経済大国から凋落しつつある今、再び「国の富」を作り出せ、ということか。 渋沢氏のような人を人為的に育てることが出来るかはわからない。 だが渋沢氏の…

コロナワクチンが余ったから破棄、なんてバカげたことが起こる理由。

「アメリカの医療制度が、コミュニタリアニズムとリバタリアニズムに基づいていることはわかりました。では、日本の医療制度はどんな理念に基づいているのでしょうか?」 ぼくがそう聞くと、間髪入れずにTさんが答えた。 「それはね、エガリタアニズムですよ…

歳なりに歳をとる(7)タンデム、あるいは旅は続く。

バトリス・ルコントの映画『タンデム』が、ずっと頭の中で流れている。老年期のラジオスター、モルテスが、おとものリヴドとともにおんぼろフォードでフランスの片田舎を行く。どこまでも、いつまでも。走り去ったあとには、何も無い。現代のドン・キホーテ…

歳なりに歳をとる(5)ワン・ファイン・メス

人生を4つの期に分け、生きていく術を学ぶ「学生期(がくしょうき)」、仕事や家のことを一生懸命やる「家住期(かじゅうき)」、浮世の義務から逃れて生を楽しむ「林住期(りんじゅうき)」、旅立つ準備をする「遊行期(ゆぎょうき)」とする。 「林住期」…

私家版『こんな仕事があったのか!』

先日、『POPEYE特別編集 こんな仕事があったのか。』(マガジンハウス)をパラパラと読んでいて驚いた。出張おにぎり屋さんという仕事があるのか。炊き立て・特別なお米と具材を持ってイベントとかに呼ばれていって、こまやかな気遣いと握り具合でおにぎりを…

歳なりに歳をとる(4)ル=グウィンと9泊10日の旅

<あなたが生まれた時、あなたは泣いていて、まわりのみんなは笑っていた。 だから、あなたが死ぬ時に、あなたは笑っていて、まわりのみんなは泣いているような人生を送りなさい。>(セルビアのことわざ) 「歳なりに歳をとる」ということを考えている。 イ…

歳なりに歳をとる(3)理想のおじさんは46歳から。

徒然なるままに「理想のおじさん」について考えている。 浪人生のころ、電車からいつも眺める風景があった。 平日の昼間、都心の駅のすぐ目の前で、釣り人たちが釣り糸を垂らしている。 まわりのオフィスを忙しげに人々が行き交う。 釣り人たちは動かない。 …

歳なりに歳をとる(2)ナナメの関係性とセイントおじさん。

「歳なりに歳を取る」話。 良い地域には、ナナメの関係性があるという。 親子や上司部下の関係性をタテ、同年代の友人や同僚との関係性をヨコとすると、子どもが学校に行くときに近所のおっちゃんが「ヨッ!元気か」と声をかけて見守るようなものをナナメの…

語られぬものにこそ。

コロナで苦しんでる患者さんの話や、コロナのせいで救急車の搬送先が何時間も何時間も見つからず本来だったら助かったはずなのに助からずに亡くなったり重度の後遺症を負ってしまった患者さんの話は、医療関係者ならいくつも胸にしまってある。 多くの医療関…

歳なりに歳をとる(1)<若い時に若かった人は仕合せである。>と『パリのすてきなおじさん』

〈若い時に若かった人は仕合せである。よい時期に成熟した人は仕合せである。人生の冷たさを年とともにだんだん我慢することのできた人、風変わりな夢に打ち込まなかった人、社交界の衆愚を避けずに暮らせた人、また二十歳では、伊達者よ、おっちょこちょい…

「武器」や「道具」として言葉を使うということと他言語経験(2)

言葉を「武器」や「道具」だと認識して緻密に扱うということを論じている。 母国語の中だけで生きていると言葉は自分の肉体のように当たり前に存在するように感じられるのではないか。だから母国語世界のみに生きていると、言葉意識して学ぶとか、あるいは使…

週刊現代記事『ワクチンをまだ打たないほうがいい』に心底憤る。

今発売中の週刊現代の「ワクチンまだ打たないほうがよい。下手したら死ぬ」という記事を読んだ。はっきり言って、非常にタチの悪いものだった。 まだ未知のワクチンだから様子見ろ(打つなとは言ってない)という論調だが、現在世界中で計8億9288万回ワクチ…

「武器」や「道具」として言葉を使うということと他言語経験(1)

言葉を過不足なく使うことに関心がある。 以前に友人と新橋の地下のお店で鴨すき鍋をつついていた時の思いつきに向かって話は進んでゆく。 発端は、なぜ現代の日本の政治家には名スピーチの名手がいないのか、という疑問であった(異論があるとは思う)。 現…

教養とは、金をかけずとも人生を楽しみ、波風立てずに世を渡る術である、という話。

「ぼくは昔からこのウイスキー一筋って決めてるんだよ。値段が下がらない酒、いくら値切れどマッカランさ」 通っていたジャズバーの忘年会で、常連の人が言った。 いつか使うべき大人の教養として、15年ほどこの言葉は温めている。 教養とは、お金を使わずに…

言葉と小銭とマグカップ。

誰かの言葉が頭にこびりついて強迫観念のように日々につきまとい、行動を支配して人格と人生を形づくる。そんなことがある。 言ったほう書いたほうは忘れてしまっても、聞いたほう読んだほうにはしっかり影響する。だから言葉を発することは恐ろしい。 言葉…