浅田次郎氏に『母の待つ里』という作品がある。これ以上は書けない。 マエストロの作品構成力、人物造形、物語の運びが冴える逸品であり、45歳以上の都市生活者および都市近郊生活者なら刺さると思うのでぜひ。お読みいただければ今回のテーマと隣接する作品…
〈高齢社会への道を進む日本において、決定的に欠けているのは大人の社交場なんです。〉 〈(2030年には)オタク文化の最初の世代が高齢者になるのですから、消費活動もその延長線上にあるはずです。〉(河合雅司・牧野知弘『2030年の東京』祥伝社新書2022年…
「頭が良い」というのはどういうことだろうか。 19世紀イギリスの随筆家P.G.ハマトンは「頭の良さ」を知能(インテリジェンス)と知性(インテレクト)に分けて論じている。 ハマトンによれば、知能とは目の前のタスクを間違いなくうまく処理する実務的な能…
水戸と言えば納豆。 しかし水戸で納豆が名物になったのは、明治時代のことだという。 歴史作家の河合敦氏の著作『この歴史、知らなくてすみません。』(PHP文庫 2018年)によれば、納豆を水戸の名物にしたのは笹沼清左衛門。 〈清左衛門は幕末の水戸に生まれ…
〈「いつかやる/多分やる」 将来の、ある時点でやりたくなる可能性のあることを常に最新の状態にしておくと、便利なだけでなく、人生にも希望が湧いてくる。〉(デビッド・アレン『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』二見書房2008年p.61) 人生の後半戦…
〈「いつかやる/多分やる」 将来の、ある時点でやりたくなる可能性のあることを常に最新の状態にしておくと、便利なだけでなく、人生にも希望が湧いてくる。〉(デビッド・アレン『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』二見書房2008年p.61) 人生の後半戦…
〈何事にせよ、ひとつのことに精通するには、一生の大半という長い年月が必要とされることは誰もが知っています。ところがこれがあまりにもわかりきったこのなので、かえってのん気な気持ちになってしまい、時間を節約すべき時に浪費し、時間を無駄にしない…
『なりたい自分』のための時間投資と、『ありたい自分』のための時間投資は異なる。 『なりたい自分』のための時間投資はいわば新規事業用の資金のようなものでまとまった量の確保が必要だが、『ありたい自分』のための時間投資は日常生活用のお小遣いみたい…
<休みになりゃ暇だし 仕事は暇なし> (B’z 『BIG』) 人生後半戦の時間とお金の使いかたについて考えている。 まさに冒頭の歌詞のような心境で、ぽっかり空いた日曜昼間の時間の中でこれを書いている。 さて、10年後に『なりたい自分』追求もよいけれど、…
「ストップ・トゥー・スメル・ア・ローズ。道に咲くバラの匂いを嗅ぐために立ち止まる。そんな人生を、ぼくは送りたいね」 そう言ったのはオーストラリア人のティムだった。今から20年以上前のこと。 『なりたい自分』と『ありたい自分』のことを考えて、そ…
良い中学や高校に入るため子ども時代を耐えて頑張る。 良い大学に入るために中高時代を耐えて頑張る。 良い会社に入るために大学時代を耐えて頑張る。 良い引退生活に入るために会社時代を耐えて頑張る。 良い墓に入るために引退時代を耐えて頑張る。 最後に…
お金と時間の使い方は、年代によって変わってくる。何が正しいかの絶対解はない。 たとえば若いときにがむしゃらに働いて質素倹約して早期に引退するFIREというライフスタイルがある。 FIREも資産形成もよいが、若い時に時間とお金を突っ込む価値があるのは…
〈「とてもいいストーリーじゃないか」少年の父親は言った。「どんなにいい出来か、自分でわかってるかい?」 「お母さんがパパに送りつけたのは心外だったよ、ぼく」 (略) 「しかし、おまえがあの小説で書いたカモメについてはどこで知った?」 「パパか…
〈(略)「舜が歴山で耕作していた時、田んぼに行っては天を仰いで号泣したと聞きます。どうして号泣したのでしょうか」。 孟子が答えた。「親に愛されないことをうらめしく残念に思い、また親を思い慕ったのだ」。 (略) 『自分は力を尽くして田んぼを耕し…
〈いつもの散歩コースの神社の階段を降りて大通りに出た。 すると、頭にすっぽりと黒いフードをかぶった暗い目をした男とすれ違った。 一瞬目があったけど、世界への恨みを募らせたような目つきが怖くて思わず目を背けた。 もう少し目を合わせている時間が長…
生きることの天才や達人もいれば、逝くことの天才や達人もいる。文学作品の中にも、そうした逝きかたの天才や達人がいる。 〈(略)臨終だといっても、友人や親戚の者は喜ぶでもなければ、悲しむでもない、いや、かんじんの死んでゆく当人さえもが、その未練…
先日マックでJKが(注)。 「なんか進路で迷っちゃってー。超アッタマいーA大学にギリで入るのと、まあまあのB大学行ってヨユーでトップでいくのとどっちがいいかなーって」 「超わかるー。なんかまわり超アタマいいと、その中で深海魚みたいに落ちこぼれる…
【備忘録。Twitterで書いたやつのまとめなので断片的で、話があちこちに飛びますが覚え書きとして】 「古文漢文は役に立たないから不要」という人がいる。とんでもない、という話。 ・「春は揚げ物」とか「春はあげぽよ」とかで笑えるのは古文という共通の知…
文系理系の線引きにこだわりはないが、以下仮説。 文系の学問ではどこかしらに人間の意志や意図が入る(仮説)。理系の学問では徹底して人間の意志や意図を排除する。 だから文系的思考の人たちは感染症流行やその抑制に対しても「裏で誰かの意志が働いてい…
破滅と確率についてタレブはこう語っている。 〈(略)「重要なのは順序であり、破滅の可能性があるところでは費用便益分析がまるきり無意味になる」(略)〉(ナシーム・ニコラス・タレブ『身銭を切れ』ダイヤモンド社 2019年 p.388.原題『SKIN IN THE GAME…
「見るべきほどの事をば見つ」。 平家物語で新中納言知盛の最期の言葉である。 知盛は、見るべきものは全て見た、と言ってこのあと海に身を投げる。 文脈的には「見るべきほどの事」とは平家一門の最期のことだという(『平家物語』角川ソフィア文庫 平成十…
人生に力強さを与える言葉というものがある。ぼくの場合は「Forget about it!」がその一つだ。 ブルックリン生活が長かったわけではない。アルパチーノとジョニー・デップの映画『フェイク』(原題『DONNIE BRASCO』)で覚えた。 主人公のジョニー・デップが…
世界はふたつに分けられる。 ぶつくさ文句を言いつつも問題解決に関わろうとする者たちと、文句だけ言っていれば誰かがどうにかしてくれると思っている者と。 アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』(“Atlas Shrugged”)の主題の一つはたぶんそれで、少な…
日本の習慣の一つに「割り勘」がある。 みなで会食をして、会計を単純に人数で割るという方法で、日本で「割り勘」をしたことがない人はいないと思う。 たくさん飲み食いした人もそうでない人もいるので「払い損」の人が必ず出てくるので、昨今ではお酒飲ま…
旧暦の12月14日は赤穂浪士の討ち入りの日だという。正直に告白すると、赤穂浪士に感情移入したことはない。 浅い知識しかないが、浅野匠頭が吉良に切り掛かって吉良は逃げ、浅野匠頭だけ処罰されたという話で、それに対し浪士たちが怒って恨みを晴らすため討…
「それあなたの感想ですよね。データとかあるんですか」 道行く小学生がそんなことを言っていた。 ネットニュースを見れば連日のように「ひろゆき」氏が社会事象を「斬って」いるし、なぜこんなに「ひろゆき」氏的な物言いがウケているのだろうかと考えてい…
フランス語に「tutoyer(テュトワイエ)」「vouvoyer(ヴヴォワイエ)」という言い方がある。 「tutoyer」は「君/ぼく、オレ」の関係性で、「vouvoyer」は「あなた/私」の関係性で、もちろん動詞の活用からなにから全部違う。 ぼくは今まで基本的に日常生…
〈なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せなるべくいっぱい集めようそんな気持ちわかるでしょう〉(『情熱の薔薇』)ここのところ“幸せ活動”について考えている。限られた人生の中で、“幸せ”がやってくるのをただ待っているのではダメで、自ら積極的に“…
「ブラザー、明日はオレ“幸せ活動”だから。また明後日な」 “幸せ活動”? 20歳の僕はきょとんとした。 「“幸せ活動”はさ、休みの日に彼女と会ったり友達と遊んだりすることさ。じゃあまたな、ブラザー」 銀座のビヤホールでひと夏ホール係として働いていた僕…
2020年から始まったコロナ禍で、何人もの人が陰謀論に取りつかれるのを見た。その中には社会的地位や名誉のある立派な人もいて、なぜあんな立派な人が陰謀論にハマるのだろうかと不思議に思ってきた。 ずっと考えてきて、少しだけ答えが見えた気がする。 人…